外国籍の子どもの17人にひとりが学校に通っていない

日本に暮らす外国人のうち、6~15歳の義務教育に相当する年齢の子どもの数はおよそ13万7,000人。そのうちおよそ6%にあたる約8,000人の子どもが「不就学」の状態にある可能性があることが2021年の文科省の調査でわかりました。不就学とは、国公私立の小・中学校はもとより、外国人学校などにも通っていない状況のことを言います。17人にひとりが、学校に通っていないのです。
日本も批准する「児童の権利に関する条約」では「すべての子どもたちに、平等に学ぶ機会」が掲げられていますが、日本の社会制度はそれを十分に実現できていません。
日本国憲法のうち義務教育について書かれた第26条では、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」とし、子どもに「教育を受ける権利」を保証するとともに、保護者に「義務教育を受けさせる義務」を定めています。しかし、文部科学省の見解では、義務教育の対象は「日本国民」に限られ、外国人は含まれていないのだそう。外国籍の人は自ら希望しない限り、就学の機会を与えられないというのです。
我が国においては、外国人の子の保護者に対する就学義務はありませんが、公立の義務教育諸学校へ就学を希望する場合には、国際人権規約等も踏まえ、その子を日本人児童生徒と同様に無償で受け入れているところです。
文部科学省のwebサイト『13. 外国人の子等の就学に関する手続について』より
参考情報
帰国・外国人児童生徒等の現状について(文部科学省、2021年)
「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和3年度)」の結果(速報)について(文部科学省、2022年)
児童の権利に関する条約 第28条(外務省)
日本に暮らす外国籍の子どもたちに就学支援を:平等に教育を受けられる体制づくりが急務(ニッポンドットコム、2022年)
外国人児童生徒等教育の現状と課題(文部科学省、2022年)
(社説)外国籍の子ども 不就学ゼロへ検討急げ(朝日新聞、2023年)
ライター:伊東光穂