全分娩数に占める無痛分娩の割合

無痛分娩とは、麻酔薬によって陣痛を和らげ出産する方法のことです。産後の回復が早いことなどから、近年この無痛分娩を選ぶ人が増えています。
日本産婦人科医会の調査によると、2016年度の全分娩数に占める無痛分娩の割合は6.1%でした。2008年度の2.6%から38年間で3.5%増加しました。しかし、健康保険の対象外で高額な費用がかかることもあり、海外に比べると日本の無痛分娩数はまだまだ少ないのが現状です。
アメリカでは73.1%(2015年)、フランスでは82.2%(2016年)が無痛分娩で出産していて、日本に比べて無痛分娩が広く認知されています。
日本で無痛分娩が普及しない要因のひとつに、医療事故のリスクへの不安があると言われています。
2010年から2016年までの間に、日本産婦人科医会に会員から報告された妊産婦死亡数271例のうち、無痛分娩を行っていた事例は5.2%にあたる14例。そのうち13例は無痛分娩を行なっていなくても起こりうるものとされ、無痛分娩中の麻酔が原因であったものは1例だけでした。(厚生労働省の第61回社会保障審議会医療部会の分析による)
厚生労働省では無痛分娩について「担当医と相談し、各施設の体制をよく理解した上で、分娩の方法を選びましょう」と呼びかけを行なっています。
参考情報
分娩に関する調査/公益社団法人日本産婦人科医会 医療安全部会
無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築について/厚生労働省
「無痛分娩」を考える妊婦さんとご家族の皆様へ/厚生労働省
無痛分娩Q&A-Q20. 海外ではどのくらいの女性が硬膜外無痛分娩を受けているのでしょうか?/一般社団法人 日本産科麻酔学会
Butwick AJ, Bentley J, Wong CA, Snowden JM, Sun E, Guo N. United States state-level variation in the use of neuraxial analgesia during labor for pregnant women. JAMA Network Open 2018;1(8):e186567.