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2021.07.30.Fri

報道の自由度ランキング、日本は67位

報道の自由度ランキング

国際NGO「国境なき記者団」が、2002年から毎年発表している「報道の自由度ランキング」。これは、世界180カ国の国と地域を対象に、世界各国の報道機関の活動と政府による規制の状況をランキング形式でレポートするもの。“メディアの独立性、多様性、透明性、自主規制、インフラ、法規制”といった側面から客観的な指標で評価し、その国や地域で報道の自由がどれほど保証されているかを示すものです。

これまでの日本の最高位は2010年・鳩山内閣(民主党)時の11位でした。民主党政権下では、政府による記者会見を一部オープンにするなどの試みを行うなど、報道の自由に寄与する動きがありました。
しかし、2013年に政権交代が起こり、自民党・安倍内閣になってからは、大幅にランクを下げてしまいます。2016年・17年には過去最低の72位を記録しました。その後も60位代後半で低迷しています。

報道の自由度ランキングにおける日本のこれまでの順位

順位 順位
2020年66位2010年11位
2019年67位2009年17位
2018年67位2008年29位
2017年72位2007年37位
2016年72位2006年51位
2015年61位2005年37位
2014年59位2004年42位
2013年53位2003年44位
2011・2012年22位2002年26位

最新版である2021年のランキングでは、日本は前年からワンランク下がった67位。いつもどおり、G7(フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダの主要7カ国)のなかでは最下位でした。

ランキング発表に際して、国境なき記者団は、日本の報道について以下のような声明を出して問題点を指摘しています。

安倍晋三の元右腕で、2020年9月以来首相の座にある菅義偉は、報道の自由の環境を改善するために何もしていません。世界第3位の経済大国である日本は、言論の自由と多元主義の原則を尊重しています。

しかし、伝統と企業利権の影響で、記者たちが民主主義の番人としての役割を十分に果たすことは難しいでしょう。2012年の総選挙で右派の愛国主義者(自民党の安倍政権)が圧勝して以来、ジャーナリストたちは彼らに対する不信感の風潮に不満を持っています。

記者クラブの制度は、フリーランサーや外国人記者を差別し続けています。
ソーシャルネットワーク上では、ナショナリスト集団が、政府に批判的なジャーナリストや、福島第一原子力発電所事故や沖縄における米軍駐留といった 「反愛国的」 な話題を扱うジャーナリストに対しての嫌がらせが続いています。
政府は、内部告発者、ジャーナリスト、ブロガーが 「違法に」 入手した情報を公表すると、最長10年の禁固刑を受ける可能性もある「特定秘密」 保護法についての議論を拒否し続けています。

参考:Japan/国境なき記者団より

この声明で毎年必ず指摘され続けているのが「記者クラブ制度」の問題です。
記者クラブ制度とは、明治時代から続く日本独特のシステムで、以下のようなものです。

<記者クラブとは>

議会、省庁・警察、大企業などの取材対象機関のなかに出入りの記者たちが設けたクラブ。クラブ室=記者室は相手機関が提供する。記者たちの多くはクラブ室に常駐して毎日これを利用、当該機関の取材にあたる。クラブは定例的な記者会見の慣行を確立し、情報によっては報道解禁日の協定なども行う。このような条件に恵まれたクラブ記者は取材上、クラブ非加盟の記者と比べて格段に有利である。

引用元:記者クラブ/コトバンク

記者クラブに加盟できるのは、大手マスコミに所属する記者に限られ、非クラブ会員は記者会見にも参加できません。クラブに加盟できないフリーランス記者や、海外メディアの記者などが取材を制限されている状況を、国境なき記者団は「差別」だと批判し続けているのです。
そして、クラブに加盟する大手マスコミ各社はこの「記者クラブ制度の問題点」について自ら言及していません。毎年発表される報道の自由度ランキングについても、「記者クラブ制度」が批判の対象にされていることには触れずに報じることがほとんどです。

また、日本に関するレポート内で、毎年触れられるのが「特定秘密保護法」です。
特定秘密保護法とは、2013年に成立・交付された法律で、安全保障に支障をきたす恐れのある情報を、行政機関の長が「特定秘密」に指定し、非公開とすることができる法律です。その秘密を漏らした公務員や民間業者は裁判で有罪となった場合、最長で懲役10年の罰則を受ける可能性があります。
国境なき記者団はこの法律が「報道の自由」に制限を加えるものだとして、一貫して批判を続けているのです。

報道の自由度ランキング2021

順位 国・地域
1 ノルウェイ
2 フィンランド
3 スウェーデン
4 デンマーク
5 コスタリカ
6 オランダ
7 ジャマイカ
8 ニュージーランド
9 ポルトガル
10 スイス
11 ベルギー
12 アイルランド
13 ドイツ
14 カナダ
15 エストニア
16 アイスランド
17 オーストリア
18 ウルグアイ
19 スリナム
20 ルクセンブルグ
21 サモア
22 ラトビア
23 リヒテンシュタイン
24 ナミビア
25 オーストラリア
26 キプロス
27 カーボベルデ
28 リトアニア
29 スペイン
30 ガーナ
31 トリニダード・ドバゴ
32 南アフリカ
33 イギリス
34 フランス
35 スロバキア
36 スロベニア
37 ブルキナファソ
38 ボツワナ
39 アンドラ
40 チェコ
41 イタリア
42 韓国
43 台湾
44 アメリカ
45 東カリブ諸国機構
46 トンガ
47 パプアニューギニア
48 ルーマニア
49 セネガル
50 ドミニカ共和国
51 ガイアナ
52 セーシェル
53 ベリーズ
54 チリ
55 フィジー
56 クロアチア
57 マダガスカル
58 ボスニア・ヘルツェゴビナ
59 ニジェール
60 ジョージア
61 モーリシャス
62 マラウイ
63 アルメニア
64 ポーランド
65 ブータン
66 コートジボワール
67 日本
68 モンゴル
69 アルゼンチン
70 ギリシャ
71 東ティモール
72 モルディブ
73 チュニジア
74 トーゴ
75 シエラレオネ
76 北キプロス
77 パナマ
78 コソボ
79 キルギス
80 香港
81 マルタ
82 エルサルバドル
83 アルバニア
84 コモロ
85 ガンビア
86 イスラエル
87 ハイチ
88 レソト
89 モルドバ
90 北マケドニア
91 ペルー
92 ハンガリー
93 セルビア
94 モーリタニア
95 ギニア・ビサウ
96 エクアドル
97 ウクライナ
98 リベリア
99 マリ
100 パラグアイ
101 エチオピア
102 ケニア
103 アンゴラ
104 モンテネグロ
105 クウェート
106 ネパール
107 レバノン
108 モザンビーク
109 ギニア
110 ボリビア
111 ブラジル
112 ブルガリア
113 インドネシア
114 ベナン
115 ザンビア
116 グアテマラ
117 ガボン
118 コンゴ
119 マレーシア
120 ナイジェリア
121 ニカラグア
122 アフガニスタン
123 チャド
124 タンザニア
125 ウガンダ
126 中央アフリカ共和国
127 スリランカ
128 カタール
129 ヨルダン
130 ジンバブエ
131 アラブ首長国連邦
132 パレスチナ
133 オマーン
134 コロンビア
135 カメルーン
136 モロッコ
137 タイ
138 フィリピン
139 南スーダン
140 ミャンマー
141 エスワティニ
142 インド
143 メキシコ
144 カンボジア
145 パキスタン
146 アルジェリア
147 ブルンジ
148 ベネズエラ
149 コンゴ民主共和国
150 ロシア
151 ホンジュラス
152 バングラデシュ
153 トルコ
154 ブルネイ
155 カザフスタン
156 ルワンダ
157 ウズベキスタン
158 ベラルーシ
159 スーダン
160 シンガポール
161 ソマリア
162 タジキスタン
163 イラク
164 赤道ギニア
165 リビア
166 エジプト
167 アゼルバイジャン
168 バーレーン
169 イエメン
170 サウジアラビア
171 キューバ
172 ラオス
173 シリア
174 イラン
175 ベトナム
176 ジブチ
177 中国
178 トルクメニスタン
179 北朝鮮
180 エリトリア

過去の数字は?

報道の自由度ランキング
2020年のランキングでは、日本の順位は前年と変わらず180カ国・地域の中で66位でした。
報道の自由度ランキング
2019年のランキングでは、日本の順位は前年と変わらず180カ国・地域の中で67位。主要7カ国のなかで最下位でした。
報道の自由度ランキング
2018年度の報道の自由度ランキングで、日本は世界180カ国・地域のうち67位でした。 これまでの最高位は2010年、民主党・鳩山内閣の際の11位です。 2013年に政権交代が起こり、自民党・安倍内閣になってから大幅にランクを下げ、2016年、17年には過去最低の72位を記録しました。
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Bolly
普段はイラストレーターをしています。
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