7軒に1軒が、空き家

日本は、住宅を必要としている人よりも、住宅の数のほうが多い「住宅の供給過剰」の状態が続いています。
2018年時点で日本の総世帯数は5,400万1千世帯、対して住宅総数は6,240万7千戸もあります。
このうち、1年以上だれも住んでいない住宅のことが「空き家」です。2018年時点で国内の空き家は846万戸もあると言われています。住宅総数に占める空き家の割合、「空き家率」は13.6%。じつに7〜8軒に1軒の割合で、空き家であるということです。
きちんと管理されていない空き家は様々な問題を生み出しています。
雑草や木が隣家に侵入したり、ネズミや蚊など害獣・害虫の発生源になったり、ゴミの不法投棄や犯罪の温床になったりするのです。
これほどまでに空き家が増えた原因の一つは、社会政策として「新築」取得を推奨してきたこと。
70年以上前の第二次世界対戦では、日本各地の市街地が焼け野原となりました。戦後、外地からの復員者の増加もあり、日本は圧倒的な「住宅不足」に陥り、早急に新しい住宅を作る必要に迫られたのです。
そこで、新築住宅を増やすため、住宅購入のための低利融資を設けたり、住宅ローン利用者向けの減税制度などを整備し、住宅取得を推進してきました。
そうした仕組みのおかげで、見事に住宅不足は解消されました。しかしその後も「新築」住宅を推奨する仕組みはいつまでも残り続けた結果、時代とともに空き家が増えてきたにも関わらず、新しい家がどんどん建てられ続けるという不思議な減少が続くようになりました。
また、空き家増加のもう一つの理由として、土地にかかる税金の優遇制度があります。
土地をもっている人は「固定資産税」と「都市計画税」という税金を納めなければなりません。
これらの税金は、その土地に住宅が建っていると「住宅用地の特例」という制度が適用されて、大幅に減額されます。どれくらい減額されるかというと、固定資産税は最大で6分の1まで、都市計画税は最大で3分の1まで減らされるのです。
もう使わなくなった住宅でも取り壊さずにそのままにしておく方が税金が安くなり、土地所有者はお得になります。だからどんなに老朽化して危険な建物でも、取り壊さずに放置されてきたのです。
しかし、このまま空き家が増え続けるのを黙って見ているわけにはいきません。
2014年、国会で「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律ができました。この法律は適切に管理されていない空き家を「特定空家」に指定し、「住宅用地の特例」の解除などができるようにしています。危険な空き家は優遇税制が受けられなくすることで、土地所有者に空き家をきちんと管理するように求める法律なのです。
このまま空家が増え続けると、2033年には3軒に1軒が空家になってしまうという予測もあります。(野村総研による)
引き続き、空家を有意義に活用するための仕組みづくりが求められています。
過去の数字は?

この問題に取り組んでいる団体
空き家や空き地の管理サービスと、空き地活用に関するコンサルティングを展開しているNPO。
空き家の管理に関する相談を全国から受け付けている。
全国の地方自治体が管理する空き家・空き地の情報を集めたサイト。自治体ごとに個別に運用されている「空き家バンク」の情報が一括で閲覧できる。運営しているのはHOME’Sなどの住宅探しのサービスを提供してる株式会社LIFULL(ライフル)。LIFULLでは空き家バンクの他に、空き家活用のノウハウをもった人材育成事業や、空き家活用のプロデュース、空き家活用のための資金調達支援事業など、空き家問題に取り組むための様々な事業をスタートさせている。