日本の難民認定率は、0.3%

紛争や迫害などにより住み慣れたふるさとを追われ、他国に逃れた人たちを「難民」といいます。
1948年に国連で採択された「世界人権宣言」では、“庇護を求める権利とすべての人間は差別されずに基本的人権を享受できる”ことが確認されましたが、第二次世界大戦によって急増した難民の保護のために新たな枠組みが必要だという認識のもと、1951年に開催された外交会議において「難民の地位に関する条約」が結ばれ、難民の権利を保障することが約束されました。
さらに1967年に採択された「難民の地位に関する議定書」では、51年の条約のなかにあった地理的・時間的制約を取り除かれています。
51年の条約と、67年の議定書を合わせて「難民条約」と呼びます。
難民条約では、
(1)難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ強制的に追放したり、帰還させてはいけないことや、
(2)庇護申請国へ不法入国しまた不法にいることを理由として、難民を罰してはいけないことなどが規定されています。
1981年に難民条約に加入した日本にも、外国から命からがら逃げてくる難民の人たちが後を絶ちません。しかし、日本の難民認定数は、他の先進国と比べ、極端に少ない状況です。
2018年に日本で難民申請したのは10,493人。そのうち認定されたのはわずか42人しかいませんでした。難民認定率はわずか0.3%でした。(認定数42人÷処理件数13,502人で計算)
ちなみに、同年の諸外国での難民受け入れ数は、ドイツ 5万6,583人(認定率23.0%)、アメリカ 3万5,198人(35.4%)、フランス 2万9,035人(19.2%)、カナダ 1万6,875人(56.4%)、イギリス 1万2,027人(32.5%)となっています。
日本の難民認定率は、どうしてこんなに低いのでしょう?
その理由の1つが、日本では戦争や内戦から逃れてきた人々を難民として、認定していないからです。
「難民認定制度の見直しの方向性に関する検討結果」という国の資料によると、「保護を必要としている避難民であっても、その原因が、例えば、戦争、天災、貧困、飢饉等にあり、それらから逃れて来る人々については、通常は、難民条約又は議定書にいう難民に該当するとはいえず、『難民』の範疇には入らないことと解釈されている」と記載されています。
(参考:難民認定制度の見直しの方向性に関する検討結果 P3/平成26年12月 第6次出入国管理政策懇談会・難民認定制度に関する専門部会)
確かに、難民条約内でも難民の定義に「戦争から逃れてきた人」は含まれていません。これは、この条約の作られた1951年当時に戦争によって生じる難民を想定していなかったからです。しかし、現在多くの国では、戦争から逃れてきた人を難民として認定しています。
また、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の公式サイトでも、「今日、難民とは、政治的な迫害のほか、武力紛争や人権侵害などを逃れるために国境を越えて他国に庇護を求めた人々を指すようになっている」と記載されています。
2019年、労働力不足解決のために入管法を改正し、外国人の在住資格を単純労働まで広げはじめた日本。
その一方で、難民の受け入れ数は世界最低レベルで、国際的な責任を果たしていないとして海外からの批判も多いのが現実です。
現在の世界情勢に合わせて、より人道的な制度運用に舵を切る日は来るのでしょうか。
過去の数字は?

この問題に取り組んでいる団体
ユニクロなどのファッションブランドを展開するファーストリテイリングでは、国内店舗での難民の雇用や、不要になった服を回収し難民キャンプへ寄付をしたり、難民支援プログラムへの拠出などの取り組みをしている。
日本に来る難民が新たな土地で安心して暮らせるよう、法的支援、生活支援、就労支援、コミュニティ支援等と行う。
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の活動を支える公式支援窓口。