世界中に埋まっている地雷の数、5,000万個
誰にも見つからないように、地中に埋めて使う爆弾を「地雷(じらい)」といいます。地雷は、その上を人が歩いたり、戦車が通ったりすると起爆するように作られています。
その残忍さから「非人道的兵器」と言われることもある地雷。特に対人地雷は「悪魔の兵器」と呼ばれるほど恐ろしいものです。
対人地雷のほとんどは、「人を殺すこと」を目的としたものではなく、人に「大怪我を負わせること」を目的に開発されたもの。兵士が地雷で怪我をすれば、その人を助けるために他の兵士が必要となり、単に殺す場合よりも多くのダメージを与えられるからです。
また、無差別で無慈悲な兵器であるという点も、地雷のおそろしいところです。軍人と民間人、敵と味方、大人と子どもの区別もなく、誰が踏んでも爆発して殺傷するのです。
この非人道的な兵器をなくすために結ばれたのが「対人地雷禁止条約」です(1997年に成立、99年に発効)。2019年10月24日現在、164カ国が参加しています。
条約では、対人地雷の使用・貯蔵・生産・移譲等を全面的に禁止し、地雷除去、被害者支援についての国際協力・援助等を規定しています。
日本も条約成立とともに参加し、当時、自衛隊が保有していた地雷約100万個を条約に基づき廃棄。2003年に保有していた(地雷撤去訓練用を除く)全ての地雷の廃棄を完了させました。
しかし、今後使わないことだけでは足りません。これまでに埋めてきた膨大な数の地雷を除去しなければならないのです。
戦争や紛争が終わっても、地雷の危険はいつまでも続き、今でも毎年たくさんの人々が命を落としたり、後遺症が残るほどの大怪我を負っています。2011年の調べでは、地雷による被害者数は年間7,239人にも上りました。
一度埋められた地雷の発見・除去は膨大な手間やお金がかかるため、なかなか進んでいません。2001年のアメリカ国務省の報告書では、世界中に埋められている地雷の数は4,500万〜5,000万個と推定されています。
お掃除ロボットの「ルンバ」を作ったアイロボット社は、もともとは地雷撤去用のロボットを開発していました。これからも人類はテクノロジーを進化させ、アイディアを振り絞り、地雷撤去を続けていかなければなりません。