世界中の核兵器の数、1万3,865発
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、核兵器を持っている世界9カ国(アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮)が保有する核弾頭数は、最大1万3,865発となり、前年から600発(約4%)減少しました。(2019年1月時点)
「核兵器」とは、核分裂の連鎖反応、または核融合反応を利用した大量破壊兵器の総称で、原子爆弾、水素爆弾、中性子爆弾等の種類があります。
その核兵器をミサイル・魚雷などの先端に取り付けて使う兵器のことを「核弾頭」と言います。
これまで核兵器が使われたためしは、2度しかありません。ヒロシマとナガサキです。
1945年の8月、広島と長崎に落とされた原子爆弾は、一瞬で数万人の命を奪いました。また、爆発の際に放出された放射線は、人々を「原爆症」という病気で苦しめつづけました。
このヒロシマ・ナガサキ2都市に落とされた原爆による死没者は、2019年の段階で50万人を越えました。
恐ろしい殺傷能力を持つ核兵器は、人類や地球を破滅させてしまうほどの強大な力を持っているため、ヒロシマ・ナガサキ以降実戦で使われていません。
それでも世界各国は、核兵器をより多く持つことで敵国からの攻撃を防げる(核抑止力)と信じ核兵器の開発を続けました。特に、アメリカとソ連が対立していた冷戦時代には多くの核兵器が作られ、1986年には世界中で6万4,099発もの核兵器が保有されていたといいます。(アメリカ2万3,317発、ソ連4万159発、フランス355発、イギリス350発、中国224発、イスラエル44発)
冷戦終結後、核戦争の恐怖から解き放たれた国際社会は、核兵器を世界共通の脅威とし、各国連携して核兵器廃絶に向けた取り組みを加速させました。その結果、かつて世界に6万発以上あった核兵器は1万3,865発まで減ってきたのです。
それでも、核廃絶に向けた歩みは順調とは言えません。
2017年、核兵器の使用や保有などを法的に禁ずる核兵器禁止条約が国連で採択されましたが、米・英・仏などの核保有国などは署名をしていません。唯一の被爆国であり、同時に米国の同盟国である日本も署名・批准をしていません。
また2018年10月、米国のトランプ大統領は、1987年に調印され冷戦終結の象徴とも言われた「INF全廃条約」を破棄する方針を表明し、翌年2月にロシアに正式通告しました。
これにより、再び軍拡競争の時代が開くのではないかと懸念する声も上がっています。
過去の数字は?
この問題に取り組んでいる団体
正式名称「核兵器廃絶国際キャンペーン」。核兵器禁止条約を求める非政府組織NGOの連合体。国際世論を高めたりするためのキャンペーンを展開するなどして、核兵器禁止条約の採択に貢献し、2017年にはノーベル賞平和賞を受賞した。