激増する梅毒患者数。約20年で30倍に

1967年に約1万1,000人が報告されて以降、患者数が減少し続けていた「梅毒」。90年代には1,000人を下回り“過去の病気”とされていましたが、近年再び増加傾向にあります。
厚生労働省の調査によると、2003年に509人だった患者数は、2023年には14,906人となり、約20年で約30倍に増加しました。 近年は特に20代〜50代の男性と、20代の女性の患者数が突出しています。
特に20代女性の感染拡大は見逃せません。例えば、国立感染症研究所がまとめたデータでは、2022年時点で女性の報告例が4,548件に上り、前年2021年の2,718件から約67%増となっています。 また、首都圏の報告では「20代女性の罹患数が2020〜2022年で3倍以上に増加」したという分析もあります。
若年女性の急拡大の理由の一つが、マッチングサービスやSNSの登場で出会いがカンタンになったことだといわれています。2024年の調査によれば、20〜40代社会人のうち「現在の恋人と出会ったきっかけ」がマッチングサービス・アプリという人の割合が32.2%となり、2018年の約9.1%から大きく上昇しています。
また、若年の女性に関しては、以前から非正規雇用の増加や単身女性の相対的貧困率の高さなど、経済的な不安定さが指摘されてきました。これまで以上に手軽に見知らぬ他者と出会えてしまう環境が整ったことで、金銭を目的とした関係(いわゆるパパ活や援助交際)が成立しやすくなっているという指摘もあります。
こうした若年層の経済的脆弱性と、オンラインでの出会いの一般化が重なり、都市部を中心に性接触の機会が増えていることが、若年女性の感染拡大を後押ししている可能性が高いと考えられます。
梅毒は通常の性交だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスなど、粘膜や皮膚の接触を通じて感染します。唇などに梅毒の病変部分がある場合は、キスやコップの回し飲みなどでも感染する可能性があります。妊娠中に感染すると胎児にも感染し、死産、早産、または先天性奇形などにつながる危険も指摘されています。 
梅毒の症状は、感染後の経過期間によってさまざまです。感染初期には、感染部位にしこり(硬下疳)ができたり、股の付け根あたりのリンパ節が腫れたりします。
治療を受けずに3ヶ月を経過すると、手のひら・足の裏・体全体にうっすらと赤い発疹が出ることもありますが、これはアレルギー、風疹、麻疹などに間違えられやすいので注意が必要です。この時期に適切な治療を受けなかった場合、数年後には心臓、脳、骨、神経など複数の臓器に障害が出ることがあります。
また、梅毒は、症状が現われたり消えたりを繰り返すという特徴があります。症状がいったん消えるため「治った」と思ってしまうかもしれませんが、病原体であるトレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)は体内に残る可能性があります。梅毒は自然治癒しない病気なので、きちんと治療を受けることが必要です。
感染予防のためには、不特定多数との性交渉を避けること、コンドームを使用することなどが大切です。また、体におかしいと感じたら、早めに病院を受診しましょう。
過去の数字は?
この問題に取り組んでいる団体
HIV検査とその他の性感染症検査普及のためのWEBサイト「HIV検査相談マップ」に用意された梅毒に関するページ。
男女それぞれに向けて、梅毒の情報や対処法などを完結にまとめた冊子を無料で閲覧できる。
ライター:大村健祐
























