梅毒の患者数が、19年間で26倍に急増
1967年に約1万1,000人が報告されて以降、患者数が減少し続けていた「梅毒」。90年代には1000人を下回り“過去の病気”とされていましたが、近年再び増加傾向にあります。
厚生労働省の調査によると、2003年に509人だった患者数は、2022年には過去最悪の1万3228人、19年間で約16倍に増えました。近年は特に20代〜50代の男性と20代女性の患者数が突出しています。
梅毒は、通常の性交だけでなく、オーラルセックス、アナルセックスなど、粘膜や皮膚の接触により感染します。くちびる等に「梅毒」の病変部分がある場合は、キスやコップの使いまわしなどでも感染します。妊娠している人がかかると胎児にも感染し、死産、早産、奇形などにつながる危険もあります。
梅毒の症状は、感染後の経過期間によって様々です。
感染初期には感染部位にしこりができたり、股の付け根部分のリンパ腫が腫れたりします。
治療をせずに3ヶ月を経過すると、手のひら、足の裏、体全体にうっすらと赤い発疹が出ることもありますが、アレルギー、風しん、麻しん等に間違えやすいので注意が必要です。この時期に適切な治療を受けられなかった場合、数年後に複数の臓器の障害につながることがあります。
梅毒は、症状が現れたり消えたりを繰り返します。症状がいったん消えるため、「治った」と思ってしまうかもしれませんが、病原菌である梅毒トレポネーマは消えずに体内に残っています。梅毒は自然治癒しない病気なので、治療が必要です。
感染予防のためには、不特定多数の人との性交渉を避けたり、コンドームを使用することが大切です。また、おかしいと思ったら早めに病院を受診しましょう。
過去の数字は?
この問題に取り組んでいる団体
HIV検査とその他の性感染症検査普及のためのWEBサイト「HIV検査相談マップ」に用意された梅毒に関するページ。
男女それぞれに向けて、梅毒の情報や対処法などを完結にまとめた冊子を無料で閲覧できる。
ライター:大村健祐