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2018.07.17.Tue / update:2021.11.11

毎年2万頭のアフリカゾウが、象牙めあてに密猟されている

2006年以降、象牙を目的としたアフリカゾウの密猟が急増しています。近年では毎年2万頭以上のアフリカゾウが密猟されていて、過去10年間でアフリカゾウの個体数は11万頭減少しています。(国際自然保護連合=IUCN調べ)
100年前、およそ1200万頭もいたとされるアフリカゾウ。それが密猟により100分の1以下の数にまで減少している現状です。

見た目が美しく、高価な象牙は、「豊かさ」をしめすシンボルとされてきました。1950年代以降の高度経済成長期には、多くの日本人が印鑑などの象牙製品を買い求めました。「ワシントン条約」で象牙の国際取引が禁止されることが決まった1989年の時点で世界一の象牙輸入国は日本だったのです。
1970年から89年までの間に日本に輸入された象牙の量はおよそ5000トン。これはアフリカゾウ約25万頭分にも相当します。

「ワシントン条約」で象牙の国際取引が禁止されてからも、日本から海外へ象牙の違法流出は止まりませんでした。WWFジャパンと野生生物の取引を監視・調査するNGO「トラフィック」が2017年に行った調査によると、2011年から2016年にかけて中国で押収された日本からの違法象牙は2.42トンにも上ります。
これをうけ、2016年のワシントン条約第17回締約国会議において、米国及びケニアを始めとするアフリカ10か国から(既に禁止されている国際取引のみならず)象牙の国内取引市場の閉鎖を求める提案がなされました。そして協議の結果、密猟や象牙の違法取引に寄与している市場に限定して閉鎖されることが決定しました。

決議では、違法取引に寄与している国内市場に限定されていますが、多くの国が合法的な市場も含めて閉鎖しています。日本とともに象牙の大量消費国だったのは中国では、2018年1月1日以降、一切の中国国内での象牙取引を禁止しました。これらの世界的な取り組みに比べると、象牙問題へ対する日本の対応は遅れていると言わざるをえません。

2019年8月にスイスのジュネーブで行われたワシントン条約締約国会議の議場で、国際社会は日本などの象牙市場を維持する国に対して、国内市場閉鎖の閉鎖を求める決議を提案するも、日本は「日本の国内市場は違法取引に関与していない」として決議に反対。決議は見送られてしまいました。
会議の席上、ケニアの政府代表は「日本の象牙市場が違法取引に関わっていることは明白。開かれている限りゾウは殺され続け、アフリカの宝は失われてしまう」と名指しで批判。同様の批判はその他のアフリカ諸国からも噴出しました。

象牙取引全面禁止に向け、世界が足並みを揃える中、国内市場の維持に固執しする日本は“悪者”として孤立を深めています。

この問題に取り組んでいる団体

アフリカゾウやサイなど絶滅が危惧される野生動物の現状を日本社会および日本国民に知らしめ、それらの 動物の保護を促進し、それに関連するさまざまな社会的課題を克服するため、一般市民や国内外の団体と連携して、世界的な環境保全への関心を高める活動をしているNPO。

何でも簡単に出品できるフリマアプリ。 2017年の11月から象牙の全形、カットピース、象牙の加工品全般の取り扱いを禁止した。 日本では売買自体は禁止されていない象牙製品だが、メルカリは国際的に規制が進む象牙取引に配慮し、決定した。

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本名・日下部智海(TOMOMI KUSAKABE)
福岡のスラム街出身。今春、大学を卒業した23歳。ヒモ。通称「ヒモっち」。
ヨルダンでシリア難民に助けられた経験から、難民問題やイスラームの記事を書くはずが、各国でヒモとして生活。ヒモ的視点からイスラーム情報をお届け。
Bolly
普段はイラストレーターをしています。
チャリツモではチャーリーくんをはじめとしたイラストを担当。
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船川 諒
WEBデザインと、記事の執筆&編集を担当しています。
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