1.5℃目標を掲げたはいいけれど…
2015年に、国連で「パリ協定」が採択され、2016年に発効しました。京都議定書に代わる2020年以降の温室効果ガス排出削減などのための新たな国際枠組みで、気候変動枠組条約に加盟する196カ国全てに義務が課されています。京都議定書では一部の先進国のみに温室効果ガス排出削減が限られていたのに対して、パリ協定では途上国を含む全ての参加国に排出削減の努力が求められています。地球全体では、将来の気温上昇を2℃以内(できれば1.5℃以内)に抑えようという目標が掲げられ、それに向けた各国の排出量削減の目標が設定されています。(5年ごとに提出・更新)
さらに、2021年の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)のグラスゴー気候合意では、気温上昇を「1.5℃」に抑えるために、世界のCO2排出量を「2030年に2010年比45%削減」「2050年頃までに実質ゼロ」にする必要がある、と合意しました。
1.5℃上昇に抑えるというのが国際的な目標とされているものの、すでに現時点で地球の平均気温は産業革命前より1.32℃上昇していると言われていて、1.5℃目標の達成は非常に難しい現状にあります。
気候変動が進むと、気温上昇、干ばつの増加、暴風雨の増加、海の温暖化や海面上昇、食糧不足などさまざまな現象が引き起こされ、地球上に住む生物の生態系は大きな影響を受けます。私たち人間にとっても、これまでの暮らしを維持できなくなる危険性があります。
現在、世界の人口の4割以上である約33~36億人が、気候変動によって脆弱性の高い環境で暮らしています。近年では、気候変動を理由に居住地を追われたり、紛争が発生して難民となる人が増えていて、「気候変動移民」や「気候難民」と呼ばれています。
気候変動は世界が団結して向き合わねばならない課題にもかかわらず、世界はまとまるどころか新たな戦争や紛争が次々の起きていて、分断は深まるばかり。気候変動の影響より先に、人類が自らの手で終わりを迎える…なんてことにならなければよいのですが。