2020.03.14.Sat / update:2023.11.22
子どもの虐待死。一番多いのは「0歳0ヶ月0日」

2020年度、虐待により死亡した子どもは77人。
そのうち心中により死亡した子どもが28人でした。
心中以外による虐待死をした49人の子どものうち、65%以上の32人が0歳児。なかでも最も多いのは、日齢0(ゼロ)日児の虐待死で、8人もの赤ちゃんが、生まれたその日に亡くなっています。生まれてから1ヶ月以内の虐待死も16人に上ります。
日齢0日児の虐待死の加害者の多くは、10代の若者や日本語の不自由な外国籍の母親です。
彼らが何らかの事情で妊娠したことを誰にも相談できず、必要な検査を受けず、支援も得られぬまま、ひとりで出産したために、赤ちゃんを死なせてしまう事例が後を絶ちません。出産直後に赤ちゃんを遺棄するケースも少なくありません。
「孤立出産」や「日齢0日児の虐待死」の背景には、性教育が不十分であることや緊急避妊薬(アフターピル)へのアクセスが十分でないこと、中絶の経済的なハードルが高いといった日本の制度上の問題があります。ほかにも、妊娠や中絶に対するタブー意識が強いために相談できる相手がいなかったり、妊娠の悩み相談を受け付ける支援団体の存在があまり知られていないなどの課題もあります。
予期せぬ妊娠などで生みの親が子を育てられない場合、生まれた子どもを養親が引き取り、“実の子”として育てる「特別養子縁組」の仕組みがスタートしたのは1988年。すでに35年が経ちましたが、いまも救われない子どもの命があります。悲劇から母子を救うため、私たちは何をするべきでしょうか。
ライター:浜中清美