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2018.02.26.Mon / update:2024.01.12

人間が1週間に摂取するプラスチック、クレジットカード1枚分?

人間が1週間に摂取するプラスチック、クレジットカード1枚分?

今や、私たちの生活に欠かせないプラスチック。お菓子の包装や飲料のペットボトル、文房具や洋服、家電や自動車など、暮らしの中のあらゆる製品にプラスチックが使われています。

そんなプラスチックの多くは、リサイクルされずに使い捨てにされています。ゴミとして回収して燃やされればいいのですが、回収すらされずに自然環境に流出してしまうプラスチックも少なくありません。自然に流出した使い捨てプラスチックは、蹴っ飛ばされたり、風に吹かれたり、排水溝に流されたりして川に行き、最終的には海に行き着きます。

こうして海に流されるプラスチックの量は、毎年800万トン。ジャンボジェット機5万機分というから驚きです。そのうち2〜6万トンが日本から出たプラスチックだと言われています。

現在、世界の海に漂うプラスチックの総量は約1億5,000万トン。今のペースで流出が続けば、2050年には魚よりもプラスチックごみの量が上回ると言われています。

そもそもプラスチックが作られるようになったのは、今から150年ほど前のこと。今のように大量生産されるようになったのは、第二次世界大戦後と言われていますから、プラスチックによる海洋汚染のスピードは驚異的です。

海洋プラスチックが厄介な点は、いつまで経っても消えないということ。プラスチックは自然界では分解されることがないため、いつまでも海に漂いながら、たまり続けてしまいます。

また、時間が経って劣化すると、波に揺られたり、何かにぶつかった拍子にバラバラに分かれて小さくなって行くのです。それを繰り返して、5mm以下にまで小さくなったプラスチックのことを「マイクロプラスチック」と呼び、世界の海に50兆〜70兆個も存在すると推計されています。

近年は、海に流れ出たプラスチックを、さまざまな生物が摂取してしまっていることが報告されていて、問題になっています。

海で死んでしまったウミガメ102頭の調査ですべての個体の内蔵からマイクロプラスチックが見つかっていたり、ムール貝を調査したところ100%の確率でマイクロプラスチックが含まれていたり、ここ数年の鯨の研究で約6割の鯨の体内からプラスチックが発見されていたりと、海洋プラスチックが海の生物のカラダを汚染していることがわかっているのです。

もちろん、さまざまな海の生物を食べている私たち人間も影響を受けています。

2019年には、人間が食べているプラスチックの量は1週間あたりクレジットカード1枚分だという研究結果が発表されています。2022年に行われた研究では、1年間にビニール袋50枚分のプラスチックを摂取している可能性があると指摘されています。

プラスチックに含まれる着色料など幾つかの化学物質は発がん性があることがわかっているものの、プラスチック自体が人体にどのような影響を及ぼすかはまだはっきりとはわかっていません。

参考情報

『Frequency of Microplastics in Mesopelagic Fishes from the Northwest Atlantic』/Frontiers
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmars.2018.00039/full

2017年06月8日 中国などアジア4カ国、海のプラスチック汚染への対策を表明 国連海洋会議で/BBCニュース
http://www.bbc.com/japanese/40197876

Plastic Pollution in the World’s Oceans: More than 5 Trillion Plastic Pieces Weighing over 250,000 Tons Afloat at Sea/PLOS
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0111913

海洋ごみとマイクロプラスチックに関する環境省の取組/環境省
http://www.env.go.jp/water/marine_litter/00_MOE.pdf

生態系に影響、深刻な「海洋プラスチックごみ問題」に私たちができること/GLOBE+
https://globe.asahi.com/article/13034286

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"多様性"や人々を分ける"境界"が関心事のキーワード。
学生時代、中東地域やインドを中心に旅をしていた。
旅人マインドをもって気ままに生きてる。