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2018.01.06.Sat / update:2023.12.09

使用済み核燃料の保管期間は10万年

使用済み核燃料を詰め込んだ容器にスポットライトが照らされている

私たちは電気ふんだんに使った快適な暮らしを維持するために、様々なエネルギーを使って発電しています。その方法の一つが原子力発電です。 2023年11月末時点で、日本には33基の商業用原子力発電所があり、うち9基が運転中です。

原子力発電所では発電のために、ウラン鉱石を原料にした燃料集合体が使用されます。燃料は原子炉の中で4〜5年ほど使用されたのち、新しい燃料集合体と交換されます。使用後に残った「使用済み核燃料」は、高い放射能をおび、人が近づけば数十秒で死亡するほど危険なものです。

この使用済み核燃料の放射能が、もとのウラン鉱石と同じレベルに下がるまでにかかる時間は10万年。その間は安全に保管する必要があります。
10万年といえば、今からさかのぼると人類(ホモ・サピエンス)がアフリカから、世界各地に拡がっていったころ。まだマンモスも生きていた時代です。
こうした途方もなく長い期間、どうやって使用済み核燃料を安全に保管するかは、原子力を扱うすべての国の課題となっています。

過去には、使用済み核燃料の処理について、海に沈めたり、宇宙に放出したりという案が検討されてきました。そうした議論の果てに、現在最適だとされている方法が「地層処分」という方法です。この方法では、地面に何百メートルという深〜い穴を掘って、安定した地層に使用済み核燃料を保管(最終処分)しようというのです。
世界各国でこの地層処分が試みられては地元住民の反対などで計画が頓挫してきたものの、フィンランドでようやく1例目の地層処理による最終処分場が着工され、早ければ2020年代初めに稼働を予定しています。

最終処分場の確保において、日本は未だに候補地を選ぶ調査もはじめられずにいます。地震大国である日本では、地層処分するのはあまりにも危険だという反対意見も多いうえ、そもそも立地場所の地質が数万年耐えられるかどうかを評価する技術も確率していないのです。

原子力発電を続ける限り、毎年新しく生み出される危険な使用済み核燃料。しかし、それを処分する場所はない。こうした状況に対して、日本が選んだのは「核燃料サイクル」という方法です。
核燃料サイクルとは、原子力発電で使用した後の核燃料をそのまま埋めるのではなく「再処理工場」で加工してもう一度核燃料として原発で使う(リサイクルする)計画です。こうすれば、一度使用しただけの核燃料は“ごみ”ではなく“資源”となると考えたのです。
しかし、この「核燃料サイクル」の構想は、30年以上の年月と、数十兆円ものお金をかけて進めてきたものの、さまざまな問題からこれまでに25回以上も計画が延期され、いまだに実現のめどがたっていません。

最終処分場の問題も解決されず、核燃料サイクルの見込みもない。それでも、私たちの電気をまかなうために、今日もたくさんの原発が元気いっぱい稼働しています。

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Bolly
普段はイラストレーターをしています。
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