カロリーベースの食料自給率、38%

ある国で消費される食料のうち、その国の中で作られたものがどのくらいあるのかをしめす割合が「食料自給率」です。
日本の食料自給率はどのくらいかというと、熱量で換算した「カロリーベース」では38%、金額で換算した「生産額ベース」では63%です。(2021年)
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振り返って見ると、およそ半世紀前の1965年時点ではカロリーベース食料自給率は73%(生産額ベース食料自給率は86%)。
その後は年々低下を続け、1993年の大冷害の年にとうとうカロリーベース食料自給率は40%を割り、37%に落ち込みました。その後、一時は40%台に回復することもありましたが、2010年以降は37〜39%の間で推移しています。
カロリーベースの自給率が下がり続けてきた理由は、自給率の高い「米」の消費が減ったこと。そして、飼料や原料を海外に依存する「畜産物」や「油脂類」の消費量が増えてきたことが挙げられます。
カロリーベースで計算する場合、畜産物に関しては、輸入した飼料を使って国内で生産した分は、自給率に換算されません。
例えば、国内で育てられた鶏が食べていた飼料のうち半分が海外から輸入されたものだったとしたら、その鶏が産んだ卵のカロリーのうち、半分しか自給率に反映されないのです。
カロリーベースの自給率は、国民が生きていくのに必要なエネルギーのうち、本当はどのくらいを国内でまかなえているかを示す数値であり、不測の事態の際にも、国民が最低限度必要とする食料の供給を確保するという「食料安全保障」の状況を評価する指標でもあります。
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他の先進国のカロリーベース食料自給率を見てみると、カナダ233%、オーストラリア169%、アメリカ121%、フランス131%、ドイツ84%、イギリス70%、イタリア58%となっています。(2019年の数値)
日本の食料自給率がいかに低いかわかるでしょう。
また、日本は輸入元を特定国に依存している傾向があることも問題です。
2021年の日本の農産物の輸入額は7兆388億円でしたが、そのうちアメリカが1兆6,411億円(23.3%)、次いで中国が7,112億円(10.1%)と上位2各国で輸入総額の3分の1を占め、カナダ、オーストラリア、タイ、イタリアを含めた上位6カ国でおよそ6割を占めています。
特に小麦、大豆、とうもろこし、牛肉の4品目は特定国への依存が強く、上位2カ国で8〜9割を占めています。
もしも、依存先の国が災害や戦争などを理由に収穫量が激減したり、関係性が悪くなって日本への輸出を制限したりした場合、私たちの食べるものがなくなってしまうかもしれません。
「全ての人が、いかなる時にも、活動的で健康的な生活に必要な食生活上のニーズと嗜好を満たすために、十分で安全かつ栄養ある食料を、物理的、社会的及び経済的にも入手可能であるときに達成される状況」を目指す食料安全保障の観点からも、食料の多くを輸入に頼ることは、危険性が高いのです。
根本的な解決のためには、できる限り自国内で作物を生産して食料自給率を上げる必要があります。
過去の数字は?
この問題に取り組んでいる団体
全国の農家さん・漁師さんから直接食材を買えるスマホアプリ。株式会社ポケットマルシェが運営している。 生産者と話すこともでき、おすすめの食べ方や食べた感想などを情報交換することができます。
全国の400軒以上の農家が出店する「厳選農家が集うオンライン直売所」。生産者と直接話しながら、新鮮な農産物を買うことができる。