1分間で消える森林面積 東京ドーム1.9個分

世界の森林面積は約40億ヘクタール。すべての陸地面積の3分の1近くを占めます。森林は、さまざまな生き物のすみかになっていたり、雨水を蓄えて洪水を防いだり、光合成により温暖化の原因となる二酸化炭素を吸って私たちが生きていくのに必要な酸素を作ったりと、さまざまな働きをしています。私たちの暮らしは、森林があってこそなのです。
しかし、この大切な森林は、人間の文明が急速に進歩した19世紀以降、過剰な伐採や農地への転用、森林火災などさまざまな理由で減り続けています。
特に近年の森林減少のスピードはすさまじく、2010年から2020年までの平均で、毎年470万ヘクタール減っています。1分間で東京ドーム約1.9個分、1時間でおよそ117個分の広さの森林が地球上から消えている計算になります。特に南米、アジア、アフリカなどの熱帯林の減少が目立ちます。
もし森林がこのまま減り続けると、植物が固定していた二酸化炭素が大気中に放出されて空気中の二酸化炭素濃度が上がり、地球の温暖化と気候変動が進むと予測されています。
気候変動は地球規模の干ばつや森林火災などを引き起こし、さらなる森林の減少につながるという悪い循環にはまり込んでしまうかもしれません。
2000年以降、世界中で大規模な植林が行われたことで、アメリカや中国、インド、ベトナム、ヨーロッパなど一部の地域では森林が増加しています。それでもラテンアメリカやアフリカなどでは、森林伐採などによる減少のほうが遥かに上回っているのです。
森林減少の原因は複雑で、先進国から途上国への農地移転や、農地開発のための過剰な伐採、そして森林火災などもあり、当事者国だけでは解決が困難です。それでも、一部の国で森林が復活していることは、地球の未来に希望を与えてくれます。