日本の医師の女性割合

日本の医師の総数は32万7,210人。そのうち女性の医師は7万1,758人、女性比率はわずか21.9%しかありません。(2018年・厚生労働省調べ)
OECDによると日本の医師総数に占める女性医師の割合は、メキシコを除くOECD加盟国34ヶ国中最下位で、OECD34ヶ国の平均である46.5%も大きく下回っています。OECD加盟国の中で最も女性医師の割合が高い国はラトビアは74.4%です。
診療科別に、女性割合を高い順から見てみると、もっとも高いのは皮膚科の47.5%。次いで、麻酔科の38.7%、眼科の38.3%、産婦人科の35.6%、小児科の34.3%、臨床研修医の32.4%。一方で低い順に見てみると、1位は整形外科の4.9%です。2位は脳神経外科の5.5%、3位は泌尿器科の5.7%、4位は外科の8.4%、5位は救急科の12.6%。
皮膚科や眼科に女性が多い理由として、他の科と比べて長時間勤務・不規則勤務が少なくプライベートな時間を確保しやすかったり、育児との両立が比較的に図りやすいからだと言われていて、逆に外科や救急などのハードな勤務が求められる診療科は女性には選ばない傾向にあるのだという意見があります。
しかし、同じくハードな科である産婦人科や小児科を選択する女性も多いことから、単純に勤務のハードさだけが女性に敬遠させる理由ではなく、診療科ごとに根強く残る男性中心の文化が女性を遠ざけているという声もあります。
女性医師が少ない原因の一つが、2018年にあきらかになった、大学医学部の入試における女子を対象とした差別的な取り扱いでしょう。
東京医科大学をはじめとした複数の私大の入試において、女子受験生に一律減点などの不利益を課す措置を、長年に渡って慣習的に行ってきていたのです。
このような措置をとっていた理由のひとつが、女性医師は結婚や出産で離職することが多く、女性医師が増えてしまうと、結果として医師不足に陥ってしまうという考え方。たしかに、未だに性別役割分担の意識が強い日本では、出産ごの家事や育児を女が担当させられることが多く、そのため離職を余儀なくされているのが現状です。
だからといって、女性医師を恣意的に(それもとても卑怯なやり口で)抑制するような措置をとることで、日本のジェンダーギャップは広がり続け、いつまでたっても女性が活躍できる社会は到来しません。
女性に差別的な取り扱いをする代わりに、やるべきことはたくさんあるでしょう。
女性医師が出産・育児後にスムーズに職場復帰できるようにサポートしたり、育児負担を男女でフェアに分け合うようはたらきかけたり、診療科ごとの男性中心文化を是正したりしないと、いつまでたっても根本的な解決には至りません。