生活保護の捕捉率、約2割
日本では、経済的に困窮するひとに対して、生活費を給付するなどして「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立を促す「生活保護」という制度があります。
すべての国民が「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利があると記した日本国憲法第25条に基づく制度です。
生活保護は、持っている資産や能力をすべて活用しても、一定基準(生活保護基準)の生活を維持できない場合にだれでも利用する権利があります。
2022年3月の時点で、生活保護を受けている人数は約204万人。2017年3月の約214万人をピークに減少傾向にあります。
生活保護受給者の年代を見ると、全体の過半数(52%)が65歳以上の高齢者です。
決して少なくない生活保護受給者の数。それでも、まだまだ救われない人々がたくさんいます。
生活保護基準を下回る経済状態にある世帯のうち、実際に生活保護制度を利用している割合を「捕捉率」と呼び、その正確な数字はわかっていないものの、専門家の推計によると20〜30%程度だといわれています。
つまり生活保護が必要なほど困窮しているはずなの人の70〜80%が、生活保護を利用していないということです。
困窮した人々が生活保護につながらない背景には、申請のために市役所などの窓口に行っても、間違った説明などで追い返される「水際作戦」があると言われています。
また、「生活保護は恥だ」というスティグマ(社会的烙印)を強く感じて申請できない人も多くいると考えられます。
生活保護は、何らかの理由で最低限度の生活を送れなくなったときには、誰もが利用できる制度です。しんどいときに、社会の助けを受けて、自分の生活を立て直すことができるこの制度があるおかげで、私たちは安心して社会生活を送ることができます。いざというときに使いにくい制度にしてしまっては、私たちみんなの安心が保障できなくなってしまいます。