セックスを「がんばった」経験って、ないですか? 【あも会レポート】
以前チャリツモで紹介した、“性”について話したり考えたりするワークショップ「あも会」を覚えていますか?
(記事はこちら→「明るく楽しく“性”について語り合うイベント「あも会」に行ってきました!」)
今回から「あも会」の開催レポートを定期的に発信し、ワークショップ中の対話の内容を再編成してお伝えするコーナー【あも会レポート】がスタートしました!
あも会中にケタケタ笑っちゃった話、「あるある」ネタ、みんなで一緒に考え込んだことなどを紹介して、“性”というテーマのおもしろさ、難しさをみなさんと共有できればと思っています。
さて、気になる初回のテーマは…「セックスを“がんばる”ことについて考える」です!
みなさんは、心や体との“ギャップ”を感じながらセックスをした経験、ないですか?
ライター紹介
-
Shii(イラストレーター)
化粧品会社でデザイナーをしています。 白文鳥と同居し、生き物と植物をこよなく愛します。いろんなものに興味を持ち、フラットな目線を心がけています。食べることと寝ることがすき。
そもそも、セックスを「がんばる」とはどういうことか?
今回のあも会はセックスを「がんばる」ということがテーマです。このテーマを選んだ理由は、あも会の参加者や友人と話していて、セックスを「楽しむ」というより「がんばる」ケースも少なくないんだなぁと感じたためです。
ふなさんは、そもそもセックスを「がんばる」って、どういうことだと思いますか?
僕の話をすると、あんまり気分が乗らないときでもパートナーを喜ばせたいっていう思いで不本意なセックスをした経験は何度もあります。
あとは、おもに女性の体験談としてよく聞くのが、「やり方がよくわからないけれど相手に頼まれたからがんばってやってみる」ってケースですね。
そうやってがんばってする、という経験はだれしもありますよね。
ちなみに「がんばる」とは、今自分がいるところとは異なる位置まで自分を持っていく行為のように思います。つまり、自分が「したい」「こうなりたい」と思う状態と、今自分が実際にしていることの間にギャップがある状態です。そのギャップにやりがいを感じられる場合もあれば、ただ苦痛でしかない場合もあると思います。
うんうん。理想と現実のギャップはその他の日常生活の中でもありますが、セックスの場面でも多々感じますね。
わたしは、セックスにおいては、「心の気分」と「体の気分」があると思っています。
「心の気分」は、そのときの自分の気持ち。
「体の気分」は、体の調子や体調、経験などがベースになって、そのときの状態が決まってくるのかなと思っています。
「心の気分」と「体の気分」、それぞれに生じたギャップを新鮮に感じて楽しめることもあれば、やらされてる感を感じて嫌な気分になることもあると思うんです。
ギャップを楽しめるときはいいけれど、苦痛だと、不快感とかストレスが残って後味が悪いですね。でも、ギャップが楽しいときと、逆に不快な時があるのは、なぜなんでしょう?
ギャップが楽しいときは、自分の好奇心や興味がそそられているような状態なんだと思います。苦痛なときは、そういった好奇心や興味ともそぐわない上に、自分の「したい」「こうなりたい」という気持ちともズレているから、「不快だなぁ」「嫌だなぁ」と感じるのだと思います。
それでは、ギャップとどう向き合うと、お互いに不快な気持ち・嫌な気持ちを避けられるのか、あも会参加者の経験から探ってみましょう。
挿入のとき、痛いけど我慢した
わたしは女性で、恋愛対象は男性がメインなのですが、挿入のとき、少し痛かったけど、相手が心地良さそうだからとがんばって痛みを我慢したという経験があります…。
入れたときに痛みが出るかどうかって、挿入しないとわからないじゃないですか?入れてみていざ「痛い」って思っても、相手の気持ち良さそうな様子を見ていると、「痛い」って言いだせなくて…。
あのときは相手の気持ちを優先して、自分ががんばっちゃったかなと思います。
わかる!!自分はゲイなんだけど、相手が挿入にこだわる人だったとき、自分の痛みを我慢することが多かったな。相手の要求に応えたいという気持ちもあるからがんばったけど、やっぱり痛いなって思う。
要求を満たせず、相手が拗ねてしまい…「がんばらなきゃ」と焦った
相手が求めてきた行為をやってみたけれど、求められるレベルに達することができず、コチラを責めるような言葉を言われたことがあります。
それを言われたときにすごくショックで…。セックスもそうだし、普段一緒にいるときでも、「汚名返上」というか、がんばって挽回しなきゃってすごく焦りました。
その相手の方、要求する上で、「相手がそれを不快だと思う」とか「相手の気持ちによっては、自分の要求を変える」ということを想像していなかったんですかね?
こちら側のことを考慮してもらえないと、辛いなぁと感じる場面も出てきてしまいそうです。
自分にも言えることだけど、要求する側も、心に余裕をもって相手にお願いした方がいいんじゃないかな。
やりたくないことをやってと言われた
そういえば僕も、自分としてはやりたくないのに、「やって」と言われてやらされた行為がいくつかあったのを思い出しました。「もう嫌だ、帰りたい」という気分になりましたね…。
わたしもそういう経験あります。自分のNGラインを越えた行為を要求されて、すごく嫌な気分になってしまいました。求めることが違うと、お互いに疲れてしまって、最終的には距離も離れちゃうのかなって思います。
噂に惑わされてがんばって何回もイってみようとしたけど、無理だった
俺は、ポルノを見たり、噂で聞いたりして、何回もイク人はすごいんだと思っていたことがあって。男たるもの、何回もイクべきなんだと思い込んでいたんだよね(笑)。でも、がんばってやってみたんだけど、どうしても気分が乗らなくて2回、3回とは続けられず…結局、がんばることを諦めた!(笑)
でも、諦めるのって意外と重要じゃないですか?自分はこの辺りが心地いいんだってところに落ち着くってことですよね。ストレスが少なくなって、とてもよい気ががします。
【まとめ】自分の気分、大事にしよう!
みなさん、最初は「がんばった経験…?」と首をかしげながら過去を振り返ってましたが、誰かが経験を共有すると、芋づる式に経験談や共感のコメントが出てきましたね。笑
そうでしたね!みなさん自分でも気づかないうちにがんばってしまっている、という場合も多いのかもしれません。そのときは相手のためを思ってがんばっているから、苦痛を感じても見過ごしちゃうんじゃないかと思うんです。
でも、時間をあけて振り返ると、当時の自分の気持ちが見えてくるんですよね。「あ、がんばってたな…」とか「そういえばちょっと無理してたかも…」なんてことに気づく。
お互いに何かしてほしいと要求することは、別に悪いことではなくて、素敵なコミュニケーションだと思うんです。ただ、そのときに、要求する側も「相手に合わせて、要求内容を変える」という選択肢を頭に入れておくと、要求する側も要求を受ける側もストレスが少ないような気がします。
要求する側も、要求を叶えてもらう前提でいると、それがうまく実現しなかったときにストレスを感じちゃいますもんね。
相手にも「心の気分」「体の気分」がありますから、それらを意識することが重要な気がします。
そうなんですよね。相手の気分を意識するのも大事ですが、自分の「心の気分」「体の気分」を大事にすることもぜひ忘れないでほしいなと思います!
確かに。自ら苦しまないためにも、まずは自分で自分の気分を汲み取って尊重するコトが大切ですよね。ちなみに、自分の気分を大事にするために、そらさんが心がけていることってありますか?
わたしの場合は、自分の感情を拾ってあげるように意識しています。痛いな、ちょっと嫌だな、など、何でも。
ただ、これを習慣化するには少し時間がかかりました。しばらく自分の感情を汲み取ることを強く意識して、いつの間にか自分の「心の気分」「体の気分」を大事にすることが習慣づいていた、という感じです。
その意識付けは重要ですね。
論理的に考えると、他人と感覚器が繋がっているわけではないので、相手が自分の感覚や気持ちを100%理解するなんてありえない。ですから、汲み取ってあげた「自分の気分」を相手にきちんと伝えること、「相手の気分」を優しく聞いてあげることが大切ですよね。相手に伝えることを習慣にすると、よりよいコミュニケーションが取れるのではないかな、と思います。
今回はセックスを「がんばる」ことをテーマに話し合いをしましたが、自分も過去のいろいろな経験を振り返ることができて、新鮮でした!
それはよかったです。コミュニケーションについては、別の回でもっと深掘りしたいと思っているので、またじっくりみんなで話し合うのが楽しみです。
あも会に参加しませんか?
あも会とは、都内にて月一で開催されている、性について楽しく対話をするワークショップです。2018年4月に始まって以降、20代から50代まで、ストレート(異性愛者)からマイノリティまで、多様な方に参加いただいています。毎回、笑いが絶えない、明るい対話の場となっています。
お子さんがいる方々からは「あも会で話し合ったことを、毎回子どもに伝えています」とコメントをもらうほど!
性に関するトピックは、私たちが生きる上で土台となる概念がたくさん詰まっています。でも、多くの人が、教えてもらえないし、相談する場所もない、という状況だと思います。そこで、みんなで楽しく笑い合いながら、考え合いながら、対話できる場があるといいなと思い、あも会を始めました!
グラウンドルール(※)が守れる18歳以上の方であれば、性に関する話題に興味がある人、性について悩んでいる人、下ネタが好きな人、異性愛者、セクシャルマイノリティ、どなたでもウェルカムです!気になった方は、ぜひ以下のURLにアクセスしてみてくださいね。
あも会ブログ:https://amorestaff.tumblr.com/
代表・そらのTwitter:https://twitter.com/sora_sora_0x0