<FIFTYS PROJECT>20~30代女性が挑む、これからの地方政治
4年に1度の統一地方選が開催中だ。
4月9日投開票の前半戦と、4月23日投開票の後半戦にわかれ、知事や市長など自治体の長を決める選挙と、県議会や市議会など各議会の議員を決める選挙が全国で980あまり行われる。
この統一地方戦を舞台に、女性議員を増やす活動に取り組むNPOがある。
20代の女性たちが中心になって、活動するFIFTYS PROJECT(フィフティーズ プロジェクト)だ。
「政治分野のジェンダーギャップ、わたしたちの世代で解消を。」というスローガンを掲げ、ジェンダー平等を目指す女性・Xジェンダー・ノンバイナリーの人々の立候補をサポートする活動をしている。
プロジェクト発足後初の大型選挙となる今回の統一地方選では、「20代・30代の地方議員の女性比率をまずは3割にすること」を目標に、27人の候補者をサポートしている。
彼女たちの活動の背景にあるのは、すでにチャリツモでは何度も言及してきた政界のジェンダーギャップの問題だ。
日本のジェンダーギャップの問題は、深刻だ。世界経済フォーラムが「経済」「教育」「健康」「政治」の4つの分野のデータから算出するジェンダー・ギャップ指数の世界ランキングで、日本の総合順位は146カ国中の116位(2022年)と先進国どころか世界のあらゆる国の中でも最低ランクに位置づけられている。
そして、特に問題なのが「政治」分野でのジェンダーギャップで、146か国中139位という目も当てられない順位となっている。
一方、「教育」の分野では146カ国中1位、「健康」の分野では146カ国中63位と、世界トップランクに位置づけられていることを考えると、「経済」(121位/146カ国中)と並んで「政治」分野でのジェンダーギャップが日本社会のジェンダー平等の足を引っ張っているのは明らかだ。
政界のジェンダーギャップの問題は、日本だけの問題ではない。
かつてはどの国でも、男女の歴然とした格差が見られたし、むしろ第二次世界大戦直後は他国に比べて日本の女性議員比率は高かった。しかしその後、大多数の国が、性別による格差を是正するための努力を続けるのを尻目に、日本だけはいつまでも足踏みを続けてきた。「変えられない」ことこそ、日本固有の問題だと言っていいだろう。
ジェンダー格差が深刻なのは、国政だけでなく地方政治も同様だ。
基礎的自治体といわれる市区町村に限ってみると、全国に3万人もいる議員のうち、女性は4,500人ほど。私たち市民にとって最も身近で、暮らしに直接影響を与える決断を下す市区町村議会において、女性比率はわずか15%しかない。(もちろん住民の半数は女性である)
その上、世代間格差も激烈で、どの地域も20代30代の若年世代の議員がとにかく少ない。
少子化、高齢化、過疎化や環境問題など、長期的なスパンで解決に望まなければならない問題が山積しているにも関わらず、その主要なプレイヤーとなる若者たちは政治的な意思決定の場から遠ざけられている。
こうした男女格差と世代間格差というダブルの格差の掛け合わせの結果、全国の地方議会には若年女性がほとんどいない。20代の女性議員は、全国でたったの15人だ。
そんな政治状況に、風穴を開けてくれそうなFIFTYS PROJECT。
多くの若者がこのプロジェクトの理念に賛同し、集まっている。ある人は今回の統一地方選に候補者として名乗りを挙げ、ある人はボランティアとして活動している。
今回チャリツモは、FIFTYS PROJECTがサポートする候補者27名のうち、市議会・町議会議員選に挑戦する6名にインタビューし、それぞれ1分半ほどの短い動画にまとめた。
会社員、教員、イラストレーター、カフェ店員、アーティスト、建築士など、それぞれ経歴も分野も様々な候補者たち。私たちに近い感覚を持った人々が政治に挑戦しているということを、知ってほしい。
彼らが私たちの代表として議会に入っていく姿を想像してほしい。変わらなかった政治の世界が、ガラッと変わる予感がするはずだ。
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