自分の好きなことを仕事にしたい。憧れの仕事で成功したい。という夢を持つ女性にとって、ロールモデルとなる女性の存在は大きい。
しかし彼女たちのインタビューの内容はその“経歴”に着目されがちで、私たちはその成功の裏にある“ストーリー”を知らない。
彼女たちのストーリーを知ることができれば、私たちはそこから何かを得たり、励まされたりするはず。
この連載では、様々な分野で活躍中の自分らしく輝く女性たちのストーリーを紹介していきます。
ライター紹介
国際人権NGO勤務。博物館学芸員資格保持のファッションオタク。
“Empowered Women Empower Women.”
人生を豊かにする人との出会いやご縁を大切にしたい/小島 まき子
HER STORY vol.03
小島 まき子
ライター、編集者
子どもの頃の夢は?
小学校の先生。母親が小学校の先生だったし、自分自身も学校が好きだったので。中学に入って英語が好きになってからは、英語の先生になりたいと思っていました。
自分がやりたいことに気づいたのはいつ?
大学で英語の教員免許を取ったのですが、新卒でそのまま教師になるのではなく、まずは企業に就職して、その後やっぱり教師になりたいと思ったらなればいいと考え、就職活動を始めました。英語を使った仕事がしたかったのと、メディアや出版業界に興味があったので、地元の関西で英語教材の編集という仕事に就くことにしたんです。今思えば、小学生の頃から学級新聞や文集、卒業アルバムの企画を考えて、制作するのが好きでした。
何度か転職し、さまざまな媒体を手がけてきましたが、編集やライティングという仕事の軸は変わりません。大変なこともありますが、いろんな人に出会えるので、自分に向いている仕事だと思っています。
仕事で経験した最大の成功や誇りは?
特に印象に残っているのは、転職先の編集プロダクションで、初めて担当した本です。
最初の出版社で英語教材の編集をする日々の中で、デスクで黙々と仕事をするのではなく、もっと外に出向いていろんな人に会ったり取材をしたりしたいと思うようになり、入社3年目頃から悶々とし始めました。そして4年目の時、京都のある大学が主催する社会人向けの編集講座をたまたま見つけ、自分がより興味のあるスタイルの編集について学べるかもしれないと思い、通うことにしました。そこで出会ったのが、講師を務めていたある編集プロダクションの社長です。彼の話に感銘を受けた私は、その会社で働きたいと思い、ある日彼に直談判してみました。すると意外にもあっさりとOKしてくれたんです(笑)。
その講座の中で生まれた京都の和のお稽古を紹介する企画が採用されて、私が編集を担当することになりました。一般書の編集は初めてで、取材先へのアポ入れ、取材、原稿執筆、デザイナーとのやり取りなど、それまでの英語教材編集とはまったく違ったので、とにかく必死でした。そうして出来上がった本を手にした時は達成感でいっぱいでしたね。取材先の方々に喜んでもらえたことも嬉しかったです。今でもその本は大事に本棚に飾っています。
これまでの人生で最大の挑戦は?
内閣府の青年国際交流事業「世界青年の船」事業※1の日本ナショナルリーダー※2を務めたこと。私は過去に参加青年として参加した時からこの事業が大好きになり、その後もスタッフとして乗船したり、事後活動組織の役員をしたりと、ずっと事業に関わってきました。
ナショナルリーダーが公募されると聞いた当初は応募する気はありませんでした。私は正直自己肯定感が低くて、自分にあまり自信がないタイプなんです。でも周りの人たちが背中を押してくれて、挑戦することにしました。結果、有難いことにナショナルリーダーに選んで頂きました。
事業が始まると、自分に自信がなかったり、ありのままの自分を出せずに悩んでいたりする参加青年が多いことに気づきました。参加青年たちにもっと自信をもってほしい、ありのままの自分でいてほしいと思いましたが、果たして自分はできているのか。他者を受け入れたり、背中を押したりするには、自分が自分を肯定し、受け入れなければならないと、彼らと関わる中で自分のほうが学ばせてもらいました。もがきながらの挑戦でしたが、貴重な経験ができたことは本当に良かったと思います。
インスピレーションが必要なときや、スランプから脱出したいときの特効薬は?
煮詰まると新しいアイディアは出てこないので、そんなときは一旦作業を中断して他のことをします。友人に話を聞いてもらったり、料理をしたり、音楽を聴いたり、旅に出たり。全く関係ないことをしている時にふとアイディアが浮かんだりするんです。
また、仕事を休んで「世界青年の船」事業に参加することも、リフレッシュになっています。1年のうち約1ヶ月間、多様なバックグラウンドをもつ人たちと一緒に船の上で生活するという非日常的な体験をすることは、頭と心のストレッチになると思っています。普段とは違う筋肉を動かすという感じですね。事業では人間同士の素の部分での深い交流があり、感情の振れ幅が普段よりも大きくなるので、感受性が豊かになります。いろいろな経験をすることは人間性を豊かにしますし、日常から離れて頭と心をリフレッシュすることで、日常に戻ってきたときに仕事にも新鮮な気持ちで取り組むことができます。事業でできたグローバルなネットワークが公私ともに役立っているという点でも、「世界青年の船」事業に関わることは人生にプラスになっています。
尊敬する女性は誰?
母親。仕事をしながらワンオペで私と妹を育ててくれたことに感謝しています。働く母親の姿を見ていたから、子どもの頃から自分もちゃんと仕事をして自立したいと思っていました。
あなたのモットーは?
一期一会。人生を豊かにする人との出会いやご縁を大切にしたい。深い付き合いの友人はもちろんのこと、たとえ一度しか会わない郵便配達の人であっても、笑顔で気持ちの良い関わり合いをしたいと思っています。
自分の性格でいちばん好きなところは?
世話焼きなところ。人に喜んでもらいたい、人をもてなしたいという気持ちが強いです。極端な話、もしかしたら目の前にいる人の人生で最後に会った人が自分になるかも知れないと思うと、出来るだけ良い時間にしたい。
仕事で東日本大震災の被災地へ取材に行き、被災された方々の話を聞いて「人生何があるかわからない」と痛感したことで、その思いがさらに強くなりました。人との関わりの中で、後悔することのないようにしたいですね。
夜眠れなくなるような不安や悩みは?
たまに人間関係で悩むことがあります。人が好きですし、協調性はある方ですが、それでも苦手な人はいて…。人と深く関わりたいからこそ、悩むのかもしれません。人間関係の悩みは永遠のテーマです(笑)
世の中にもっとあって欲しいものは?減って欲しいものは?
あって欲しいものは人々の笑顔と幸福感。置かれた状況は違っても、だれもが自分らしく幸福感をもって生きることができる世界になって欲しい。減って欲しいものは負の感情と貧困や飢餓。最近SDGsについての書籍を編集したこともあり、だれ一人取り残されることのない世界を願います。
“Empowered Women Empower Women.”
5年勤めた製版会社を退職し、フリーランスで活動中。 映画、韓国のカルチャー、猫が好き。
チャリツモの猫たちではビリー推し。
http://kameillust.com/
学生時代、中東地域やインドを中心に旅をしていた。
旅人マインドをもって気ままに生きてる。