ハレとケ|vol.2 愛知県小牧市の「豊年祭」

日本全国に残る個性豊かな祭りを巡り、地域のあり方や価値観、そこに住む人々の人生を探ります。
現代を生きる私たちに、祭りが伝えてくれるものとはいったいなんなのでしょう?
制作はイラストレーターの鰐部麻里絵さんと、ビデオグラファーの奥村渉さんのコンビです。
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第1話
奇抜な祭り
今回訪れたのは、愛知県小牧市の「豊年祭」です。
豊年祭といえば「天下の珍祭」。
長さ2メートルもある巨大な男性のシンボル「大男茎形(おおおわせがた)」を御輿に載せて、厄男たちが五穀豊穣と子孫繁栄を祈願する、ちょっと変わったお祭りです。
そんなユニークな祭りを一目見ようと、海外からの観光客も多く訪れます。現在では「小牧市指定無形民俗文化財」にも指定されています。
奇抜な見た目に目を奪われがちですが、実はこの祭りが行われる田縣神社の創建は非常に古く、平安時代の書物『延喜式神名帳』にもその名が記されています。祭りの原型となる神事は、1,000年以上前から続いているとも言われています。
ネットや本だけではわからない、豊年祭の奥深い魅力。全3話にわたってお届けします。
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第2話
私にとって、普通の祭り
豊年祭を通して驚いたことは、外から見た祭りと、内側(祭りに関わっている人たち)から見た祭りのギャップでした。
どうしても、男性のシンボルを担ぐ姿が目立ってしまうため、外から見る人には「性的で奇抜な祭り」と受け取られることがあるかもしれません。
でもこの地域に住んで、ずっと田縣神社を氏神様としてお参りしてきた人に話を聞くと、
「私にとっては生活の一部でした。自分の父や祖父も神輿を担いできているので、大きくなるまでこの祭りが“変”だなんて思ったこともなかった」と語ってくれました。
実際に現地を訪れると、神社の境内で地元の子どもたちが遊び、毎年両親の屋台を手伝う小学生の姿も見かけました。神社の隣にあるスーパーマーケットでは、男性器の形をした縁日のお菓子も普通に売られていました。
地元の人々にとって、この祭りは一年に一度の、他の地域と何ら変わらない「普通の祭り」なのです。
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第3話(最終話)
和合
一見すると奇抜でセンセーショナルな豊年祭。その裏側には、地域のたくさんの人たちが関わり、支え合う姿がありました。祭りの準備から当日まで様々な世代の人達が集まり、それぞれ役割を分担しながら、みんなで祭りを作り上げていました。
祭りを通して同級生達が再会する姿は、まるで世代を超えた合同同窓会をやっているよう。自分たちの世代に誇りを持ち、お揃いの法被を作って団結する姿も印象的でした。
いろいろな価値観が共存する今だからこそ、「自分と相手は違う」ことを受け入れ、どう関わるかが大切。
「祭りは日本人が昔から得意だった、人と人との絆を深める“言葉以外”のコミュニケーションツールなんだよ」
田縣神社の神主さんは、そう教えてくれました。
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<豊年祭の情報>
開催時期:毎年3月15日
開催場所:愛知県小牧市田県町152(田縣神社)




















