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2019.02.27.Wed

“おうち育ち”な我が家の事情

第2話 初めての赤ちゃんは『HSC 敏感すぎる子』

ごあいさつ

hohimaro似顔絵

こんにちは。チャリツモライターのhohimaro(ほひまろ)です。
学校や園に行かず、家庭を主な学び、育ちの場として過ごす三人の娘の母です。
学校に「行けない」日々の末に「行かない」選択をした長女(14歳)と二女(11歳)。
そして「園には行きたくない」としっかり主張した三女(5歳)。
そんな我が家の日常を、心を込めてお伝えしていきたいと思っています!

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初めての赤ちゃんは結婚10周年にやって来たスィートテンベイビー。順調なお産の末、娘との待望の出会いを果たした夜のこと。
私は産後の体をいたわるために赤ちゃんを新生児室に預かってもらい、これから始まる新しい生活を想像してはにやけていました。
その時、私は確かに聞きました。遠く離れた新生児室で泣く、愛しい娘の泣き声を!

「お腹がすいたようだからオッパイもらおうね~」
と助産師さんに抱かれ連れてこられた娘に、出ないお乳を吸わせながら、
「他の赤ちゃんの声は聞こえてこないのに、この子の声はずいぶん大きいのね~」
とそれもまた愛しく…。
この時すでに始まっていた『ひといちばい敏感な子』との生活なんて知る由もありませんでした。

* *

HSP(Highly Sensitive Person )とは、生まれつきとても敏感な人のことで、アメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士によって提唱された概念です。
その後、HSC(Highly Sensitive Child)『ひといちばい敏感な子』についても著書が出版されました。
日本では未だ認知度は高いとは言えないかもしれませんが、2018年には大人気の『子育てハッピーアドバイス』シリーズ(明橋大二 著)にもHSC版が登場しました。

このHSPやHSCは生まれ持っての気質であり、それ自体は、病気や障害ではありません。
しかし、全体の15%~20%と、実はかなりの割合で存在するということを、知っているのと知らないのとでは世界は大きく変わるといっても過言ではないと、経験上断言できます。

娘はHSCの特徴にことごとく当てはまりましたが、そのことについて知らなかった私は、娘の敏感さを自分や環境のせいだとしか思っていませんでした。

* * *

音、光、匂い、気配などの刺激にとてもとても敏感な娘の育児は大変。
私の手に抱かれていれば静かに深く眠るのに、一度腕から離すと途端に泣きました。
何度もチャレンジし、やっとベッドに置くことに成功しても、小さな物音にも反応して泣き出します。テレビを封印し、電話のベルの音も消しました。
オムツ変えの際、汚れたオムツをゴミ箱に捨てるため、娘の視界から一瞬消えただけで泣きました。
いわゆる人見知りの月齢よりずいぶん早くから、私と父親以外の人に抱かれると永遠の別れのように泣きました。

とは言え、どのお母さんにとっても、一人目の育児は何もかもが初体験。
思い通りになんてなるはずのない育児に、ママ友たちと共有できる苦労もたくさんありました。
「そうだよね、みんなそうなんだ!」
娘を抱いたまま、日が暮れても取り込めないままの洗濯物を眺めながら、自分を励ましたものです。

しかし次第に、同月齢の赤ちゃんのネンネのタイミングが安定したり、愛想よく笑ったりするのを見て私は焦りました。
「うちの子はなんでみんなみたいにならないの?」
残念ながらその時の私には『知る』という術がありませんでした。

乳幼児健診で「恐れや不安が強い」という項目に丸をつけ、相談してみても、
「しっかり大きくなってるから心配いりませんよ」
という励ましをもらって帰ることしかできませんでした。

娘が10ヶ月くらいの頃のこと。風邪をひき、処方された薬の作用で初めてベビーベッドでスヤスヤ寝てくれた時、ひょっとして、眠れるようになったのかなと信じたい気持ちでした。
でも、最後の一包の薬を私は娘に飲ませることができませんでした。
「これを飲み終わったらまた、眠らない赤ちゃんに戻ってしまう…」
お守りのように、その薬をそっとしまっていた私は、ある意味で孤独でした。
手がかりが見つからなかったからです。

あの時、もし、持って生まれた気質について少しでも知っていたら。
同じスタートを切っても、進むスピードやタイミングは違っていいんだという柔軟な心を持てていたら。

あの頃に比べると、私はずいぶんたくましくなりました。
たくましさは子どもたちが教えてくれました。
周囲のあたたかいサポートが育ててくれました。
偏らない情報が後押ししてくれました。
情報に溢れ、手軽に得られる時代だからこそ正しく知る、柔軟に知る、誰かと一緒に知るという知り方が、私は理想的だなあと思います。

そして、私は、HSCについて知る機会のないまま、3年後にもう一人の敏感すぎる子を育てることになるのでした。

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学校や園に行かず、家庭を主な学び、育ちの場として過ごす三人の娘の母です。
学校に「行けない」日々の末、「行かない」選択をした長女(13歳)、二女(10歳)。
そして、「園には行きたくない」としっかり主張した三女(5歳)。
そんな我が家の日常を、心を込めてお伝えしていきたいと思っています!
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船川 諒
WEBデザインと、記事の執筆&編集を担当しています。
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