【マンガ】極寒のホームレス体験ツアーレポート!
あとがき
厚生労働省の調査によると、日本全国のホームレスの数は2008年に16,018人であったのが2014年には7,508人となり、6年間で約53%減少したとされている。(ホームレスの実態に関する全国調査 平成26年1月 厚生労働省)。
「3,000円アパート事業」という低廉な賃貸物件の供給増加がホームレスの減少に大きく寄与したのだそうだ。統計上の数字だけを見ると、あたかも日本社会はホームレス問題を解消しつつあるように思える。しかし本当にそうだろうか。
今回のツアーでは、実際にホームレスをしていたという人々に話を聞くことができた。
彼らは過去に何度も生活保護を申請した。申請の際には各地の福祉事務所に相談し、そこで当面の住居として「ドヤ」(簡易宿泊所や無料定額宿泊所をそう呼んでいた)に入居することを勧められたという。
ほとんどのドヤでは集団生活を強いられる。狭く暗い、決して快適とは言えない空間、門限が夕方5時というように厳しく管理された生活、レトルト食品など質素で栄養少ない食事。おそらく昨今問題になっている“貧困ビジネス”いわれるその環境に耐えられずに逃げ出し、いつの間にか路上に戻ってしまうのだそうだ。
上記のような話を伺う中で、ホームレスを公的な支援につなぐ役割を担う福祉事務所が、貧困ビジネスへの仲介役となってしまう危険性や、生活保護という最後に残されたセーフティーネットにつながるまでのハードルの高さを思い知らされた。
元ホームレスの人の中には、非正規雇用の働き方を続けた結果、年齢とともに仕事がなくなりホームレスになったという人もいた。真面目に働いていても、働き方やタイミングで誰もが簡単に行き詰まる。だからこそホームレスの人たちが抱える悩みや問題を、おなじ社会を生きる私たちみんなが自分の問題として捉え、解決策を探る議論をしていくべきなのではないだろうか。
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一般社団法人リディラバによる、社会問題の現場を訪れるスタディツアー『Travel the Problem(トラベル・ザ・プロブレム)』。性教育から防衛問題まで150以上のテーマを開催し、4000人を超える人々を社会問題の現場に送り届けてきた。