沈黙で語る。採卵鶏や食用豚の、悲しい真実の伝え方。

Laurenです。来日して13年になる、35歳のアメリカ人です。

昨年の12月にアニマルライツセンターが主催した「NO FUR WALK 2016（毛皮反対デモ行進）」がはじめてです。

以前からさまざまな団体に寄付を通じてチャリティはしていましたが、実際に活動に参加することはありませんでした。ずっと犬を飼っていて、動物が大好きだったのですが、彼らが置かれている過酷な環境・残酷な仕打ちには目をつぶって見ないようにしていたんです。

ある日そうして見てみぬふりをし続けることに耐えられなくなりました。私たちが何も声をあげずに沈黙していることが、彼らの命を危険に晒している現状に気付き、行動することにしたんです。

ちなみに私は肉食もやめて、ヴィーガンになりました。ヴィーガンとは肉や魚に加え、乳製品や蜂蜜なども含めた動物性の食品を一切食べない完全菜食主義者のことです。

この「Anonymous for the Voiceless」はオーストラリアで始まった抗議パフォーマンスです。今回初めて日本で行いました。

このアクションは私たちが一方的に説明したり主張したりするのではなく、パフォーマンスを見て少しでも気になった人が積極的に情報に触れたり、真実を見ようとする姿勢になってもらうためのものです。

産卵鶏や食用豚が生産過程でどのような扱いを受けているのかがわかるビデオです。オーストラリアで撮影されたものですが、日本の現場も同じような状況です。

たとえば日本の産卵鶏はほとんどの場合、バタリーケージという狭いケージの中に閉じ込められたまま一生を終えます。1羽あたりに与えられる面積はiPad一枚分しかありません。一生に一度も羽を広げられず、ただ餌を食べて卵を産み続ける。そうやって使い捨てにされ、ケージの中で死んでいきます。また、病気の蔓延を防ぐための薬を大量に与えられています。

豚も同じです。豚は犬と同等程度の知能を持つ動物ですが、日本では母豚は一生のうちのほとんどを「妊娠ストール」という個別のケージの中で過ごします。
方向転換もできないほど狭いケージに拘束された豚たちは、信じられないほどの苦痛とストレスの中で子どもを産み続けるのです。

動物に対してだけでなく、地球環境に対しても畜産は大きな影響を与えます。
畜産由来の温室効果ガスの排出量は膨大で、自動車や飛行機から排出される総量よりも大きいということは、ほとんど知られていません。

こうした真実はみな知らないか、知りたくないと思っているでしょう。私もそうでした。でも、私たちは、自分たちのために犠牲になっている動物たちのことをきちんと知らなければなりません。

日本の畜産は安全で、動物の扱いもしっかりしていると思われている人が多いのですが、そんなことはありません。
むしろ動物福祉（アニマルウェルフェア）の分野では遅れていて、多くの家畜が残虐な扱いを受けているのが現実です。
この真実に気付き、1人でも多くの消費者が現状を変えるために声を上げてくれることを願います。