破れたセーフティーネット。救われない風俗関係者
臨時休校で仕事を休まざるを得なくなった保護者への助成制度において、風俗業で働く人々が支給対象から除外されることがわかりました。
厚労省は「公金を投じるのにふさわしくない業種との判断だ」と説明しています。
(参考:ナイトクラブや風俗業、休業補償の対象外 厚労省「公金助成ふさわしくない」に批判/毎日新聞)
私はこれまで、さまざまなキャバクラ嬢、風俗嬢を見てきました。
ギャンブル狂いで働かないDV夫にかわって熟女風俗店で働がなければならない母親。
養育費ももらえず、水商売で家族4人の生活費を稼ぐシングルマザー。
スーパーのレジ打ちのパートだけでは食べて行けないデリヘル嬢。
風俗業界で働く女性の中には“その他の選択肢がない人々”が多くいます。
能力やキャリア、住んでいる地域や子どもの年齢などにより、世間で言う“まっとう”な仕事に就くことが難しい人たちがたくさんいます。
水商売や風俗が「セーフティーネット」と言われるゆえんです。
今回、そうした水商売や風俗の業界関係者への給付金の不支給という決定をしたことは、本当に困っている人を真っ先に切り捨てる非情な措置であり、理不尽な差別です。
しかし、差別される当事者は、顔バレ・身バレを恐れ、表に出て批判ができない立場にいます。社会一般にも、風俗業界に対する潜在的な差別感情は蔓延していますので、あまり問題にされずに流されてしまうかもしれません。
また、加藤厚生労働大臣は風俗関係者への不支給の理由を「雇用関係の助成金全般で、風俗業関連は支給しないことになっている」とし、母子の生命に関わる事態にも関わらず、慣例主義をとっています。
今回の決定を見逃してしまうと、今後の施策においても風俗関係者を公然と差別・除外する「いいわけ」を与えてしまうことになるかもしれません。
(参考:新型コロナ「保護者助成制度 風俗業は対象外変えず」厚労相/NHK)
「少子高齢化がー」と口にしながら、日本の未来を背負う大切な子どもたちのために、日々歯を食いしばり、身を削り、感染の恐怖と戦いながら働いているお母さんたちを切り捨てる判断は、見過ごしてよいはずがありません。
当事者による署名キャンペーンはこちら
水商売当事者の方による、厚労省への制度の改善を求める署名活動がたちあがりました。change.orgにて公開されていますので、ぜひご協力ください。
→change.org-新型コロナウィルスによる保護者助成制度の対象に風俗関係者を加えてください-