電車の中のアノコはなんで独り言を言うの?
「電車の中でブツブツ話してるアノ子、ちょっとコワっ、隣に座るのヤメトコ。」
こんなこと経験したことありませんか?
多くの人が一度は経験あるはず。
実は、独り言が心の病気によって出てくることがあります。
なぜ彼らが独り言を言うか、わたしたちは「知らないから怖い」んだと思います。
人には防衛本能という言葉もあるくらいで、普段と違う声が聞こえたらびっくりするのは当たり前かもしれません。
そこで、「あぁ、こんな理由があって独り言を」と納得することで、コワイとかキモチワルイとかいう偏見の気持ちが減ることが大事なのかな、と思ったりします。
統合失調症(とうごうしっちょうしょう)のアノ子
はたから見ると独り言。
だけど、わたし相手と話してるんです。
聞こえないはずのものが聞こえてるんです、わたし。
そうゆうことなんです。
統合失調症って何?
考えや行動、言葉などをうまくまとめられない状態が続くことを統合失調症といいます。
統合失調症には、3つの特徴があります。
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(1)陽性症状
正体不明の声が聞こえるのよ!お医者さんには幻聴って言われるけど…。
そんなことが続くと、「誰かから監視されてる!」なんて感じたりすることもあるの。これは妄想知覚っていうらしいの。 -
(2)陰性症状
やる気がおきないよ。絶望感でどうにかなっちゃいそう。他人と関わるのも嫌なの。あとは、感情が乏しくなって無口や無表情、無関心になることもあるよ。
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(3)認知機能障害
頭の中がざわざわ忙しくて、集中できないのよ。段取りよく仕事するのがちょっと苦手になった気がする。
こうやって見てみると、わたしたちにとっては統合失調症の「症状」であっても、本人からしたら「突然聞こえてきた怖い声」なのかもしれません。
統合失調症について、もっと詳しく書きました→「解説!電車の中のアノ子はなんで独り言を言うの?〜統合失調症編〜」
自閉症スペクトラム障害(略してASD)のカレ
声を出すことで自分を落ち着かせてるんです。
好きな言葉を思わず声に出して繰り返してしまうんです。
反射のように言葉が出てくることがあるんです。
ASDって何?
生まれた時から「人付き合いのやり方」「想像力の広げ方」「コミュニケーションのやり方」がかたよっている状態のことを、自閉症スペクトラム障害、Autism spectrum disorder(ASD)と呼びます。
ASDには、3つの特徴があります。
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(1)人間関係は苦手だよ
ひとりでいるのが好きだったり
好意が一方的だったり
気を遣うのが苦手だったり… -
(2)コミュニケーションのとり方が独特なのさ
言葉の使い方に強いこだわりがあったり
立ち話する距離が近かったり
視線が合わなかったり、合わせすぎたり… -
(3)興味のかたより、こだわり、パターン的行動があるよ
特定のモノやコトに強い興味をもったり
同じ手順を繰り返したり
予定通りじゃないとパニックになったり…
どの特徴を強く持っているか、それがどのような形で表れるかは、とても大きな個人差があります。
ASDについて、もっと詳しく書きました→「解説!電車の中のカレはなんで独り言を言うの?〜自閉症スペクトラム障害(ASD)編〜」
よくよく考えてみると、わたしたちだって、パニクったら「うわぁぁぁ!」とか言ったりするし、
自分の好きな歌や言葉だって気づいたら声に出してたりする。
電車の中では怖く感じるアノ子の独り言も、人より声が大きかったり、ちょっと雰囲気が暗かったり、人よりしつこかったりするだけなのかもしれない。
みんなと同じで、何か理由があって独り言を言っているのだ。
ということで、
アノ子が独り言を言う理由を知ると、
なんだか、見方が変わりませんか?
医療監修
川崎市立多摩病院 神経精神科阿部大樹 先生
参考ページ
◆統合失調症に関して
厚生労働省 『みんなのメンタルヘルス 統合失調症』
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_into.html
COMHBO 『統合失調症・妄想性障害・緊張病』
https://www.comhbo.net/?page_id=8553
◆自閉スペクトラム障害に関して