
私は岡山県に住む中学生です。昆虫や動物、山や海など自然が大好きです。
時々新聞やニュースで自然破壊や野生動物の問題を見かけます。アフリカなどの遠い場所の話のようですが、それは私たちの暮らしや日々の選択と無関係ではありません。
かわいそうな動物の写真に心を痛めながら、地球規模の気候変動に不安になりながら、知らないうちに実は自分もその悪循環に加担していることもあります。
知って、感じて、考えて、行動する。
そのひとつのきっかけとなれるようにこの新聞を発行します。
発行者:沖 メイ子
エキゾチックペットとその問題 / 野生動物に迫る問題とわたしたちの選択(3)

エキゾチックペットとその問題
エキゾチックペットとは犬や猫・家畜や
エキゾチックペットの問題とその背景を取り上げます。
1.動物由来感染症
動物由来感染症とは動物と人間の間で感染する感染症の総称で、zoonosis(ズーノーシス)とも言われます。全ての感染症の約半分がこれにあたり、200種類以上あります。私たちが今直面している新型コロナウイルスも動物由来感染症で、元の宿主コウモリからいくつかの動物を媒介して人間に感染したと言われています。
世界では過去50年、新しい動物由来感染症が次々に見つかっています(毎年3〜4種類)。その背景には、人間と野生動物の距離が近くなってしまったという原因があります。
野生動物の生息地の自然を破壊したことにより、人間と野生動物の接触は増加しました。また、餌を求めて近づいてきた野生動物と家畜が接触したり、同じ場所の川の水を飲んだりすると、家畜を介して感染症が伝播します。さらに、ペット需要の無規制な取引もこの一因となっています。

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2.動物福祉
家庭やカフェなど本来の自然環境とは全く異なる環境で飼育され、精神的ダメージや肉体的なストレスが生じる場合があります。また、飼育方法がよく分かっていない種もいます。診てくれる動物病院が少ないのも問題です。
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3.絶滅危惧種
エキゾチックペットとして持ち出される野生動物の中には、絶滅のおそれがある動物も多くいます。国内ではペット取引にほとんど規制はなく、流通経路は不透明のまま取引され、野生の個体数を減少させる大きな要因となっています。
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4.密輸・違法取引

TRAFFIC(トラフィック/野生生物の取引を調査・モニターするNGO)の報告(2020.6)によると、2007年から2018年の間に、計1,161匹のエキゾチックペットが日本の税関で差し止められました。中には感染症法で輸入禁止となっているサルやコウモリもいました。これは実際の密輸のほんの一部です。餌も水も与えられず、多くは過酷な輸送の途中で死んでしまいます。 それでも少しでも生き残って売れれば、利益をあげることができます。高額な国内取引は国際的なエキゾチックペットの闇取引の規模を大きくし、加速させています。密輸された個体でも、偽の出所の情報でも、購入者は見分けられません。
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5.外来種
飼育されていた野生動物が逃げ出したり飼育放棄で自然に放たれると、元々の生態系を脅かしてしまう場合があります。それは外来種の中でも「侵略的外来種」と呼ばれ、生物多様性が失われる大きな要因となっています。農業・漁業被害も深刻です。日本で代表的なものはアライグマやマングース、ヌートリア、カミツキガメなどです。
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以前コツメカワウソがブームとなりました。TVで特集され、SNSで一気に広まりました。正規の取引では需要に間に合わず、原産国のカワウソを絶滅させかねないほど密猟・密輸が増えましたが、飼いきれず結局手放す人も多くいました。
野生動物は自然の中で生きる姿が、より魅力的で美しいです。私たちはこの需要についてよく考える必要があります。
私たちにできること
- ◎本当に必要かどうか考える
- ◎自分たちの選択が自然環境や野生生物に与えている影響を知り、それを見直す
- ◎パブリック・コメントなどで行政、政治家に規制強化などの声を届ける
- ◎共感してくれる仲間を増やす…など。
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