
私は岡山県に住む中学生です。昆虫や動物、山や海など自然が大好きです。
時々新聞やニュースで自然破壊や野生動物の問題を見かけます。アフリカなどの遠い場所の話のようですが、それは私たちの暮らしや日々の選択と無関係ではありません。
かわいそうな動物の写真に心を痛めながら、地球規模の気候変動に不安になりながら、知らないうちに実は自分もその悪循環に加担していることもあります。
知って、感じて、考えて、行動する。
そのひとつのきっかけとなれるようにこの新聞を発行します。
発行者:沖 メイ子
アフリカゾウが直面する危機 / 野生動物に迫る問題とわたしたちの選択(2)

アフリカゾウが直面する危機
現存する世界最大の陸上野生動物、アフリカゾウ。とても頭が良く、社会性のある動物で、メンバー同士コミュニケーションを行い、豊かに感情表現をします。100年前には約1000万頭生息していましたが、現在は約40万頭に減少しました。
1.生息地の消失
ゾウは広大な土地を移動しながら食べ物を求める動物です。主に植物や樹の葉や皮、果実などを食べます。アフリカでは人口の増加、都市化、牧草地・農耕地の増加、大規模農園のプランテーション開発によって生息地が減少し、道路や鉄道・保護区の境界線にある柵によって生息地の分断がおきています。道路や鉄道では、衝突事故によって命が奪われることもあります。
生息地を奪われたゾウは、農耕地に入ってきて畑を荒らし、作物を食べることもあります。苦労して作った作物を一夜にして奪われた人たちにとって、ゾウは害獣となり、殺されてしまうこともあります。逆に人間がゾウに殺されてしまうこともあり、衝突による問題は深刻です。
アフリカにはこんな歴史的背景があります。19〜20世紀にかけて、欧米人がアフリカに進出し、現地の人たちを虐殺し土地を奪いました。そして野生動物をハンティングし、絶滅に追いやったり、大きく数を減らしたりしました。その後、今度は自然保護の動きが生まれます。自然保護区をつくるために、先祖代々そこに住んでコミュニティをつくっていた人たちは、狭い土地に追い出されました。自然と共生し、自分たちが食べる分だけの狩猟をして暮らしていたのに、狩猟も禁止されました。そして荒れた土地を耕し農業をすると、野生動物に狙われるのです。
ゾウをはじめとする野生動物を守るためには、現地の人たちとの共存を念頭におく必要があります。
2.密猟と違法取引
現在1年間におよそ2万頭が象牙目的の密猟で殺されています。1日約56頭です。
ゾウの牙は前歯が進化したもので、頭蓋骨とくっついています。※1 密猟者たちは生きているうちにチェーンソウや斧などで顔ごとえぐりとります。立派な牙を持ったオスのゾウから被害にあい、次に群れのリーダーである最年長のメスのゾウが狙われます。※
アジアでは、象牙で作られた装飾品が富裕層のステータスシンボルとして人気で、闇市場では高い価格で売買されています。日本ではハンコの素材や箸などの日用品、根付、和楽器のバチや工芸品として使われています。

密猟者の多くはお金で雇われた貧しい現地の村人です。しかしそんな村人たちが、見つからないように象牙を運び、税関を通り抜け、海外で売りさばくことができるでしょうか。現地で密猟を指示する人、警察や税関を意のままに動かす政府高官、複数の国を経由して船で運ぶ国際密輸組織などが関わって、消費者の手に渡ります。消費者の需要があるままでは、密猟は止むことがありません。
2017年12月、中国が象牙取引を禁止すると、日本の象牙取引市場は世界最大となりました。国際取引はワシントン条約によって禁止されていますが、日本国内では現在も過去に輸入された象牙や象牙製品の取引が合法的に認められています。違法取引や出所不明の象牙も、登録してしまえば合法的に扱えます。日本の法と取締りの緩さが密猟を誘発していると国際的な非難を浴びています。また、近年中国から日本に象牙を買いに来る観光客やバイヤーなどもおり、違法な輸出が多発し問題となっています。

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ゾウは、生態系の中で重要な役割をしている生物種、キーストーン種です。もし絶滅してしまうと、アフリカの生態系は連鎖的に崩れて大きな影響が出ます。例えば、ゾウの糞は植物を育て、蟻の家になります。また移動により植物散布を助けています。葉を食べるために樹を押し倒すことによって、影だった場所に陽があたって新たな植物が育ったり、倒木が小動物や昆虫のすみかとして使われたりします。
現在、世界のゾウは3種全種が絶滅の危機にあります。
私たちにできること
- ◎新たに象牙製品を買わない
- ◎象牙の国内取引禁止の署名に参加 #REDonNOSE
- ◎保護団体に寄付
- ◎アフターコロナに現地のサファリに参加し観光業に貢献(保護資金になる)…など。
他にも何ができるでしょうか。
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