
私は岡山県に住む中学生です。昆虫や動物、山や海など自然が大好きです。
時々新聞やニュースで自然破壊や野生動物の問題を見かけます。アフリカなどの遠い場所の話のようですが、それは私たちの暮らしや日々の選択と無関係ではありません。
かわいそうな動物の写真に心を痛めながら、地球規模の気候変動に不安になりながら、知らないうちに実は自分もその悪循環に加担していることもあります。
知って、感じて、考えて、行動する。
そのひとつのきっかけとなれるようにこの新聞を発行します。
発行者:沖 メイ子
密猟問題とは / 野生動物に迫る問題とわたしたちの選択(1)

密猟問題とは
〜南アフリカの問題とその対策について〜
1.Subsistence Poaching
ひとつめは保護区などで地元の人が家族を養うために行なっている密猟です。地元には仕事がなく、生活するのに困っている人がたくさんいます。そこで、こっそりと保護区に侵入し、安く買える針金の罠を色々な所に仕掛け、かかった動物を持ち帰ります。目的はインパラやイボイノシシですが、リカオンやライオンや象など、絶滅の危機に瀕している動物も被害にあっています。罠にかかった動物たちは窒息したり、足をちぎられたりして死んでしまいます。獲物がかからなかった罠は放置され、危険は増えていきます。
この対策として、密猟取締隊が広いサバンナを歩き回り、ひとつひとつ罠を探し出して回収していくという地道な作業をしています。
2.Commercial Poaching
ふたつめは商業的な密猟です。サイのツノ、ゾウの牙、センザンコウのウロコなどはとても高く売れます。そのため、これらを目的とした密猟が数多く横行しています。
密猟は国際犯罪組織によって行われていて、現地の貧困層、国の汚職政治家、不正を働く取締隊なども関わっています。しかし、アジア各国をはじめとする世界中で需要があることが、第一の問題です。ワシントン条約※1の調印前までは日本はサイのツノを世界一輸入していました。密猟の市場を大きくした責任があります。しかも、日本はまだ象牙市場を閉じていません。

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サイの密猟
世界にいる5種類のサイは、全てが絶滅の危機に瀕しており、そのうち2割以上がクルーガー国立公園※2に生息しています。公園内のサイは10年間で70%も減少し、2021年1月にはシロサイ3549頭、クロサイ268頭になりました。
サイのツノは人間の髪や爪と同じ、ケラチンでできています。切っても痛みはありませんが、密猟者たちは顔の肉ごとえぐり取ります。保護活動のひとつである『ツノ処理』は、今の所とても有効な方法です。密輸組織のルートを捜査したり、需要がなくなるまでの時間をかせぐことが重要です。

お話をうかがったのは
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太田 ゆか さん
南アフリカ政府公認の唯一の日本人女性サファリガイド。 密猟からサイの命を守るためのクラウドファンディングや、実際の保護活動も行なっています。リアルタイムでサファリを案内してくれる「バーチャルサファリ」が人気です。
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