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2020.03.19.Thu / update:2020.07.12

29億着作られて、15億着売れ残る

29億着作られて15億着が売れ残る日本のアパレル業界

日本では、年間およそ29億着もの衣類が供給されています。しかし、そのうち15億着が売れ残るというから驚きです。
売れ残った服のうち、一部は中古衣料として輸出されますが、大部分は新品のまま廃棄処分されるのだそうです。

大量余剰が生まれる要因の一つは、「6割売れれば大成功」と言われるアパレル業界のビジネスモデル。
従来のアパレル業界では、どれくらい売れるかという見込みに従って生産量を決める「見込み生産」が当たり前。見込み通りに売れなかったときには当然、大量の不良在庫(売れ残り)が生まれます。
この見込みはずれの売れ残りを、消費者からの信頼性(ブランド力)を損なわないために、値引き販売せずに廃棄するブランドもあるのです。

大量余剰のもう一つの要因が、低価格な衣服を求める消費者のニーズに応えた「ファストファッション」の大量生産です。
経済産業省の調べでは、1991年に約15兆円程度だった日本のアパレル市場規模は、四半世紀後の2016年には10兆円規模にまで縮小しています。ところが供給量は20億点から40億点ほどに倍増しているのです。洋服の価値もとても下がっていて、2017年の衣料品の購入単価は、1991年時点と比べると6割程度に落ちているのだそうです。
世界を席巻するファストファッションは、日本にも浸透し、安い服を大量に消費する社会を作りあげたと言えるでしょう。

供給過剰を承知で作られた安い服の多くは、リサイクルが難しい化学繊維で作られています。そのため再利用されずに廃棄処分されてしまうのです。回収されて新しい服に生まれ変わるものは全体の1%しかないとも言われています。
売れ残った洋服は、焼却処分するとCO2が排出されるし、埋め立てる場合は生分解されないプラスチックゴミとして自然環境を汚します。
消費者が「安さ」を享受するかわりに、地球そのものが大きなコストを背負っているのです。

海外の先進国では、こうした余剰生産問題を根本的に解決するべく、テクノロジーを駆使して不良在庫を作らない取り組みをはじめています。また、アパレル業界の生産者責任を今よりも厳しくしようという動きも起こっています。
まだまだこの分野で遅れをとっている日本。一時期ひたすらに連呼されていた「MOTTAINAI」とはなんだったのでしょう?もう一度ものを大切にするもったいない精神に立ち返り、生産過剰の問題に真剣に取り組まないといけません。

この問題に取り組んでいる団体

作りすぎた在庫品となったブランド品などをメーカー&工場から直接依頼を受け、仕入れた商品を販売しているアパレル店。東京や大阪を中心に10店舗を展開。

アパレル加工工場でブランドタグや洗濯表示タグの付け替え加工を行い、ブランド名表示を変更して再販する仕組み。元のブランド名を表示せず、ブランド毀損を防いだ再販を実現する。運営は服の買取・販売を行う株式会社FINE。

ライター(原案):朝井敬介

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