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2016.09.14.Wed

“夜の世界”の孤立に立ち向かう/性風俗嬢のセカンドキャリア支援(1/2)

風俗業界にいることが問題なのではなく、社会から孤立してしまう事が問題。

風俗業界で実際に働いてみてどう感じましたか

入る前は困っている人がたくさんいるんだろうと思っていました。ところが働き始めてからギャップを感じた。もちろん困っている人はそりゃ多いんですけど、一方で収入が月60万あったりするし、何に困っているのかがよくわからなかったわけです。世の中の多くのNPOなどの支援団体の人たちは、女の子たちに風俗業界をやめさせようとアプローチすることが多いですよね。だけど僕が見た実際の女の子たちは、お客さんがつかないことの方を怯えていた。辞めたいと毎日考えるんじゃなくて、客が今日つくかつかないかのほうが大事なんですよ。めちゃずれてると思いました。そうした思いと実態が。風俗の何が問題なのかって、未だに社会にうまく伝わってないし、僕も風俗に関わり続けてきて気付いたのはこの半年くらいなんですよ。それまでは何が問題なのかはずーっとわからなかった。ようやく気付いたのは、風俗にいることが問題なのではなくて、そのせいで孤立してしまっていることが問題なんだということなんです。結局。奨学金が、とかシングルマザーで、とかそんなのはどうでもよくって、孤立していなければきっとどうにかなると思っているんですよ。

孤立の問題の一つが風俗にいるって言うことを言えないっていうことです。例えば、彼らはお盆とか年末年始に帰省できないんですね。男性スタッフもキャストさんも。なぜかというと、「お前今なにしてるんだ?」っていう話になった時に語る言葉を持っていない。風俗で働いているとはとても言えないから嘘つかなきゃいけないけれど、それが辛い。だったら家で引きこもる、ってなる。

結局風俗の実態を見てわかったことは、なんらかの形で社会から孤立しやすいポジションというのが少なからずあって、それが例えば風俗嬢だけではなくて、風俗のスタッフもそう。あとは前科者とかもそうでしょう。オリンピックシーズンに思ったのは、スポーツをずっとやっていたけれど、それが夢やぶれて活躍できなくなっちゃった人とか。そういう人たちの孤立もすごい問題。僕らが扱う問題は、“性”の問題ではありません。どちらかと言うとキャリアの問題とか、スティグマの問題とか、働くって何?っていう問題の方に近いんです。それが他の風俗に関わる支援団体との違いかと思います。少なくとも僕が見てきた風俗業界の人たちが困っていたのは“性”の問題ではなくって、例えば立場とか所属とかそういうもの。人って挨拶するときに自分の名前を言った後職種を言いません?あるいは所属とか社会的な立場。この社会の文化が辛くさせちゃった人たちっていうのが少なからずいて、夜の仕事の人たちがそれに当たるんです。海外に行くと違っていて、名前の後に握手はするけど仕事を聞いたりしない。そうした所属がないこと(言えないこと)の生きづらさ、それをどうにかしたいなと思っています。

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船川 諒
WEBデザインと、記事の執筆&編集を担当しています。
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