Loading...
2018.07.11.Wed

消えゆく職人ー剥製師ー

日本の剥製師の高齢化が進んでいる。年々、日本各地で、技術が後世に引き継がれないまま廃業が進んでいる。私も、一時期、自分の標本づくりのために、剥製師に習っていたことがある。不器用で、物にならなかったが・・。

『昔は、剥製なんて、作れば売れたんだけど、今は需要がないからね。』 と語るのは、60年、剥製を生業としている田中さん(匿名)だ。 写真は、剥製づくりに使うために、ヒグマの頭部を除肉し、頭骨にしているところ。作った剥製を見せてもらったが、60年の技術は、素晴らしいものだ。

実は、日本の剥製の作り方と、欧米の作り方は、全く異なる。日本は、針金に、木毛を巻いていき、形を作り、剥皮した皮をかぶせて作るが、欧米は、ウレタンなどで彫刻を作り、その上に皮をかぶせる。

以前、ロシアのサンクトペテルブルクにあるロシア科学アカデミー動物学博物館へ滞在した時、剥製の技術の凄さに驚いた。生きている本物かと思うくらい、リアリズムで、野生動物の生態展示を大規模に行っていた。日本の剥製師が職人なら、欧米の剥製師は芸術家といえるだろう。しかしながら、この田中さん(匿名)の技術も欧米に決して劣ってはいない。

日本各地の博物館は、予算の問題で、動物遺体があっても剥製にできない現状にある。
学芸員をしていた頃、私もこの問題に直面したが、剥製の需要がないのは、各地の博物館の実情も影響している。日本で、あと数年後には、剥製師がいなくなるかもしれない。60年の技術が引き継がれないのは、大変、勿体ないことである。

文:チャリツモ・ライター 羽馬 千恵(https://charitsumo.com/author/habachie

ライター:
タグ:
羽馬 千恵
北海道札幌市在住のフリーライター。虐待被害者の大人として「大人の未来(全国虐待被害当事者の会)」の代表を務める。興味分野は、「虐待サバイバー」「貧困」「奨学金自己破産」「生活保護」。専門は、野生動物や自然で、タヌキの研究が長く、自身もたぬき化していった通称「たぬき先生」。 http://haba-chie-564.com/index.html お仕事のご相談